「リーン開発」とは、プロセスから無駄を取り省いて、必要最小限の資源で最大限の利益を上ることを目的とした開発手法です。
ビジネスでは「リーン」の考え方は経営の場面でもよく用いられますが、アジャイル開発との組み合わせにより大きな価値を生む考え方です。アジャイル開発の中でも、スクラム開発について耳にする機会が多いのではなないでしょうか。
今回は「リーン開発」の特徴と、「アジャイル開発」「スクラム開発」との違い、開発手法の組み合わせによるメリットについて詳しく解説します。
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「リーン開発」とは一体どのような開発手法なのでしょうか。まずは、その由来と考え方についてご紹介します。
「リーン」(Lean)とは、「(余分な脂肪などない)引き締まった、ぜい肉の少ない」「(組織が)効率的な、スリム化した」という意味です。
必要最小限の経営資源で徹底的にムダを省き、コストを抑えながら顧客価値を最大限に導きだすのが「リーン開発」の目的です。
リーンの考え方は、トヨタ自動車が生産現場で用いた「トヨタ生産システム(リーン生産方式)」に由来します。
1990年、MIT(マサチューセッツ工科大学)のジェームズ・P・ウォマック氏らが日本の自動車産業の強さを探るため、トヨタ生産方式を研究し、発表したことで世界に広まることとなりました。
トヨタ生産方式には2つの柱「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」があります。
・自働化
単純な機械化である「自動化」とは異なります。「自働化」は「不良品を生産しない仕組み」のこと。
自動車製造で使う機械だけでなく、人間が作業するラインでも「不良品を作らない仕組み」を編み出しました。
人間の手による不良品を探知する仕組みができていれば、すぐに機械を停止して、原因の調査・改善を行い、不良品を生産しないようにするという発想です。
・ジャスト・イン・タイム
「必要なものを、必要な時に、必要な分だけ」という考えをベースにしています。これにより生産現場の「ムダ・ムラ・ムリ」がなくなり、いいものだけを効率よく造る、生産効率がアップするという考え方です。
製造業であるトヨタ自動車ならではの「生産方式」という視点ですが、サービス業や公的機関など業務プロセスを改善する手法として、リーン生産方式はあらゆる場面で浸透しています。
リーン開発は、必要最低限の機能を備えたプロトタイプの作成によりコストを抑え、顧客の声を聴いて何度も改善を重ねる、リーンの考え方を用いた開発手法。「構築→計測→学習」という3段階のサイクルをできる限り短い時間で回します。
まずは「こんな製品が必要ではないか」という仮説を立て、プロダクトを構築し、「最小限の製品(MVP:Minimum Viable Product)」を制作。
MVPは実際にユーザーに使用してもって反応を計測するための製品なので、すべての機能を実装する必要はありません。
「小規模かつ短期間で事業をスタート」することで、ユーザーの反応を確かめながら製品・サービスを生み出せるので、顧客のニーズから大きく外れることがなく失敗確率の少ない開発手法です。
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リーンスタートアップとは、「リーン」の考え方を起業の場面にフォーカスし、アジャイル開発の手法を用いた、製品やサービス開発のマネジメント手法です。
アイディアを事業化するためのプロセスの無駄を排除し、生産性の向上を目指すという企業の方法論として認識されています。
「機敏な」「素早い」という意味をもつアジャイル(agile)。アジャイル開発とは、イテレーション(反復)という概念にもとづき、「計画→設計→実装→テスト」のサイクルを小さな単位で高速で行ないます。
具体的には、優先度の高い開発要件から着手していき、開発した各機能の集合体としてプロダクトを形成します。
アジャイル開発はスクラム開発の手法のひとつ。チームを組んでそれぞれの役割のもと、タスクを分散し、コミュニケーションを取りながら開発していきます。
ラグビーのスクラムにちなんで「スクラム開発」と名づけられたように、チーム全員で開発する手法のため、アジャイル開発の中でもコミュニケーションを最も重要とする開発手法です。
リーンスタートアップでは、”ムダを省く”という理念のもと「仮説→計測→学習→再構築」の4つのプロセスを小さな作業単位で繰り返して、全体の開発時間を短縮します。
・構築
仮説(アイディア)をもとに企画。実際の事業が開始されていない段階であることがほとんどなため、仮説がうまくいくとは限りません。
時間とコストをかけず、必要最低限の機能を実装した商品(MVP:Minimum Viable Product)を開発して反応を計測していきます。
・計測
開発された商品を市場に投下し、反応をみて、フィードバックを得ていきます。MVP制作であればコストも少なく、思ったような反応を得られない場合の修正も容易です。
・学習
顧客から得られたフィードバックをもとに、商品やサービスの修正・ブラッシュアップを行います。うまくいかなかった原因を突き止め、改善方法を模索します。
・再構築
仮説が正しければ継続、正しくなければ商品やサービスの大幅な方向転換(ピボット)を図ります。
MVP制作によりコストを押さえながら、このサイクルを繰り返すことで、無駄のない開発、迅速な商品化を目指します。
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リーンスタートアップに欠かせないMVP。MVPとは「Minimum Viable Product」の略で、実用最小限の機能を備えた製品のこと。
完全な製品を目指さず、実用最低限の製品で市場に投入し、実際のユーザーの反応・フィードバックを得て改良を重ねながら製品化へと導く仕組みです。
完全な製品になるまで開発をつづけると非常に多くの開発工数を要し、コストもかかります。MVPであれば、必要最低限のレベルに押さえられるので開発工数・コスト共に削減できます。
また、MVPの提供を繰り返すことで顧客のニーズを把握ができ、ニーズから外れた製品を生み出す失敗を避けられるのです。
いち早く市場に投入し、顧客からのフィードバックを得ることで、製品・サービスの改良に素早く対応できるので、市場の成長が早い業界で優位に立てる可能性があります。
試作品やサービス改善をしながら、顧客に再度提供するというサイクルを繰り返すことで、企業や新規事業の成功率が飛躍的に高まり、後続の企業より一歩リードした状態で開発を進められるでしょう。
市場のニーズにマッチした製品・サービスの提供に重要な要素は、顧客のフィードバックです。
MVP開発であれば、具体的なフィードバックを早い段階で得やすいため、改善点・課題点も見つけやすく、市場のニーズに即した製品・サービスを送り出すことができます。
仮説からスタートするリーン開発は、実験的要素が強く、顧客の反応をベースにMVP開発のリリースが進められます。そのため、急な変更への対応も柔軟に行えるアジャイル開発との相性がよいのです。
リーンスタートアップでリリースの単位となるMVPは、アイディア(仮説)の検証が可能なプロダクトのこと。実験的要素が強い開発では、MVPを短いスパンで提供して実証を繰り返すことで、商品のブラッシュアップを図り、取り返しのつかない失敗を回避しすることができます。
アジャイルとリーンの組み合わせによって、顧客満足度を高めつつ、プロダクトを早期に市場に送り出すことができます。市場へ送り出すことで、優位性を高めることができ、早い段階での収益化にもつながります。
リーンスタートアップのデメリットとして2点注意しておきたいことがあります。
MVPによる「構築・計測・学習」のサイクルが何度も繰り返されるため、1回あたりの開発コストが高い製品やサービスには向いていません。
軌道修正が難しい状態の場合、ダメージが大きく、改善のメドを立てられずに失敗してしまう恐れも。
MVPを作成し、何度も「構築・計測・学習」のサイクルを試しているうちに、当初の目的やゴールが途中で変わってしまうこともあるでしょう。
また「顧客のニーズを満たす」という目的から外れて、MVPを繰り返すことが目的になってしまうという懸念もあります。当初の目的を明確にしながら、軌道修正やフィードバックに対応していくことが大切です。
DeFactoryであれば、アイディア着想、ユーザーヒアリング、テストマーケティング、アジャイル・MVP開発の一連の流れを「14営業日程度」(※実装期間や開発要件により異なります)で行なえるため、より早いPDCAを実現できます。
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今回は、「リーン開発」についての由来や新規事業開発に用いられる「リーンスタートアップ」について解説しました。
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