フリーランスエンジニアにとって、リモートワークは働き方の選択肢を大きく広げてくれる存在です。通勤時間ゼロで好きな場所から働ける自由、地方に住みながら都市部の高単価案件に参画できるチャンス。こうした魅力に惹かれて、フルリモート案件を探している方も多いのではないでしょうか。
しかし「リモート可」と書かれた案件でも、実際は週3日出社が必要だった…という落とし穴も少なくありません。フルリモートを実現するには、案件の見極め方や、クライアントから選ばれるための準備が欠かせません。
本記事では、リモート案件とフルリモート案件の違いから、単価相場の実態、メリット・デメリット、そして継続的に案件を獲得するための具体的な戦略までを網羅的に解説します。これからリモートワークに挑戦したい方も、すでにフルリモートで働いていてさらなるステップアップを目指す方も、ぜひ参考にしてください。
リモートワークの定義と種類を明確にしておきましょう。「リモート可」「一部リモート」「フルリモート」は似ているようで、実際の働き方は大きく異なります。ここでは用語の違いを整理した上で、フリーランスエンジニア向けリモート案件の市場動向を具体的な数値とともに紹介します。職種によるリモート対応のしやすさの違いにも触れていくので、自分の専門分野がリモート向きかどうかを判断する材料にしてください。
まず用語を整理しておきます。
「リモートワーク」は勤務先オフィス以外で作業する働き方の総称です。在宅勤務やカフェ・コワーキングスペースでの作業など、オフィスから離れた場所で働くスタイル全般を指します。つまり「週に数日は出社するけど、残りは自宅で働く」というハイブリッド型もリモートワークに含まれます。
一方「フルリモート」は、勤務のすべてをオフィス外で行う働き方です。一切出社せず、自宅やコワーキングスペースなどで仕事を完結させます。クライアント先への訪問も基本的にはなく、打ち合わせはすべてオンラインで行います。
注意が必要なのは「リモート可」という表記です。この表現があっても、実際は週に数日出社が必要なケースは珍しくありません。「リモート可と書いてあったから応募したのに、蓋を開けてみたら週3日は出社必須だった…」という話はよく聞きます。
応募前には必ず「出社頻度はどのくらいか」「フルリモートで完結できるか」を確認しましょう。案件詳細に記載がない場合は、エージェントや担当者に直接質問することをおすすめします。
リモートワークは新型コロナ以降に一気に普及しましたが、その後は出社回帰の動きも見られました。全産業で見ると、リモートワーク実施率は2020年のピーク時から低下傾向にあります。
しかしITフリーランスの現場では、依然としてリモート案件が豊富に存在しています。クライアント側の開発環境がリモート対応しているケースが多く、「オフィスに来なくても仕事が回る」という体制が整っている企業が増えているためです。
Relance「フリーランスエンジニア白書2024」によると、フリーランスエンジニアの約50%がリモート中心で働いています。内訳を見ると「基本的にリモートワーク」が29.5%、「リモート多め」が21.0%という結果です。つまり、フリーランスエンジニアの2人に1人はリモートワークをメインにしているということになります。
主要なフリーランスエージェントでも、リモート対応案件は全体の半数前後を占めています。地方在住でもネット環境さえ整えば首都圏の案件に参画できるなど、以前にも増して仕事の選択肢が広がっている状況です。「東京の案件は東京に住んでいないと受けられない」という時代は終わりつつあります。
フリーランスエンジニアと一口に言っても様々な職種がありますが、職種によってリモートワークの実現しやすさには大きな差があります。自分の専門分野がフルリモート向きかどうか、把握しておくことが大切です。
フルリモート案件が多い職種
フルリモート案件が見つけやすいのは、以下のような職種です。
これらの職種に共通するのは、PCとネット環境さえあれば作業が完結できるという点です。コードを書く、デザインを作る、クラウド環境を構築する、こうした業務はオフィスにいなくても問題なく進められます。特にWeb系・アプリ系のプロジェクトではフルリモート前提の案件も珍しくありません。
フルリモート案件が少ない職種
一方で、フルリモートが難しい職種もあります。
組み込み開発では、センサーやデバイスなどの実機を自宅に持ち帰れないケースが多く、テストやデバッグのために出社が必要になることがあります。製造業系でハードウェアを扱う案件では、完全リモートは難しいのが実情です。
PMやITコンサルタントは、ステークホルダーとの密なコミュニケーションが求められるため、常駐または定期出社が条件の案件が多い傾向にあります。ただし最近ではオンライン会議ツールの活用でかなりリモート対応が進んでおり、重要な局面以外は在宅作業で済ませるケースも増えています。
フリーランスエンジニアへの転身を考える際、最も気になるのは収入面ではないでしょうか。ここではRelance「フリーランスエンジニア白書2024」のデータをもとに、フリーランスエンジニアの平均年商や年代別の収入実態を紹介します。職種別の単価相場や、高単価案件を獲得するために求められるスキル・条件についても解説するので、自分の市場価値を把握する参考にしてください。
Relance「フリーランスエンジニア白書2024」によると、フリーランスエンジニアの平均年商は約632万円です。会社員エンジニアの平均年収と比較すると、やや高めの水準と言えるでしょう。
特に注目すべきは、フリーランス転向後に約60%が収入アップを実現しているという点です。会社員時代より収入が増えた人が過半数を占めているのは、フリーランスを検討している人にとって心強いデータではないでしょうか。
年代別の平均年商を見てみましょう。
経験を積むほど収入が上がる傾向が見られます。ただし50代になると若干下がっているのは、案件の選び方や稼働日数の調整など、ライフスタイルに合わせた働き方を選ぶ人が増えるためと考えられます。
もちろんこれはあくまで平均値であり、スキル・稼働状況・案件の選び方次第で収入は大きく変動します。高単価案件を継続的に獲得できれば年収1,000万円超えも十分に狙えますし、逆に案件が途切れれば収入はゼロになるリスクもあります。
2-2. 職種別の単価相場|Web開発・モバイル・インフラの目安
フリーランスエンジニアの収入は、専門分野やスキルセットによって相場が異なります。代表的な職種ごとの単価相場を見てみましょう。自身の市場価値を把握する参考にしてください。
Webアプリ開発
月60万円以上が一つの目安です。モダンなフレームワーク(React、Vue、Next.js等)やTypeScriptの経験があると高単価を狙いやすくなります。フロントエンドとバックエンドの両方に対応できるフルスタックエンジニアは、さらに単価が上がる傾向にあります。
モバイルアプリ開発
月50万〜80万円が相場です。SwiftやKotlinでのネイティブ開発経験があると評価されます。Flutter やReact Nativeなどのクロスプラットフォーム開発経験も需要が高まっています。人気アプリの開発実績があれば、月80万円以上も狙えるでしょう。
クラウドインフラ
月70万円以上も狙えます。AWS、GCP、Azureの設計・構築経験があると高単価案件にマッチしやすいです。特にAWSの資格保有やTerraformなどのIaCツールの経験があると強みになります。DevOpsの知見を持つインフラエンジニアは非常に市場価値が高いです。
これらはあくまで目安であり、経験年数や対応できる工程、コミュニケーション能力によって単価は上下します。
高単価を実現しているフリーランスエンジニアには、共通する特徴があります。技術力だけでなく、クライアントから「この人と働きたい」と思われる要素を持っているかどうかが重要です。
①需要の高い技術スタックを持っている
市場ニーズの高い技術を押さえていることが、高単価への第一歩です。現在高単価につながりやすいのは、AWS・GCPなどのクラウド、TypeScript、Go、Python、AI/機械学習などの分野です。
新しい技術へのキャッチアップを怠らない姿勢が大切です。「今の技術で十分」と思った瞬間から市場価値は下がり始めます。常に学び続ける意識を持ちましょう。
②上流工程から対応できる
コーディングだけでなく、要件定義や基本設計といった上流工程から参画できるエンジニアは重宝されます。「言われたことだけをやる」のではなく、「何を作るべきかを一緒に考えられる」人材は、どのプロジェクトでも求められます。
フリーランスとして信頼を勝ち取るには、最低でも3年以上の実務経験があることが望ましいと言われています。経験が浅い段階でフリーランスになると、高単価案件へのアクセスが難しくなる可能性があります。
③クライアントとの信頼関係を構築できる
技術力だけでは高単価は獲得できません。「この人と一緒に仕事がしたい」と思われる人間力も重要です。
特にリモート案件では、顔が見えない分、コミュニケーション力が評価されます。レスポンスの速さ、報告の丁寧さ、問題が起きたときの対応力、こうした「一緒に働きやすいかどうか」が、継続発注や単価アップにつながります。
【関連記事はこちら】【2026年最新版】フリーランスエンジニアの年収はいくら?差がつく案件探しと収入の実態・年収最大化戦略とは
フルリモートには多くの魅力がありますが、一方で課題も存在します。ここではメリット・デメリットを客観的に整理し、自分に合った働き方かどうかを判断できる材料を提供します。「フルリモートに向いている人・向いていない人」の特徴も明確にするので、自分がどちらに当てはまるかを考えながら読んでみてください。
フルリモートワークには、オフィス勤務では得られない魅力がたくさんあります。主要なメリットを4つに整理して解説します。
好きな場所・時間に働ける柔軟性が、フルリモート最大のメリットです。
通勤時間がなくなることで、1日1〜2時間以上を別のことに使える人も多いでしょう。満員電車のストレスから解放されるだけでも、QOLは大きく向上します。
また、勤務時間の調整もしやすくなります。「朝は苦手だから10時から働き始める」「夕方に一度中断して、夜にまた作業する」といった柔軟な働き方も可能です。家事や育児との両立がしやすいという声も多く聞かれます。
居住地に関係なく、東京の高単価案件に参画できるのは大きなメリットです。
地方で生活コストを抑えながら都市部の単価を得る「地方×高単価」という働き方が実現可能になります。家賃が東京の半分以下のエリアに住めば、同じ収入でも手元に残るお金は大きく増えます。
実家のある地域に戻りたい、パートナーの転勤に合わせたい、そんな事情があっても、フルリモート案件さえ確保できれば、自分の望む場所で仕事と生活を両立できます。
職場の人間関係に悩んでいる人にとって、フルリモートは精神的な負担軽減につながります。
毎日オフィスで同僚や上司と顔を合わせる必要がないため、人付き合いによるストレスが格段に減ります。職場の雑談や派閥、飲み会の付き合いといったものから距離を置けます。
必要最低限のコミュニケーションで済むため、急な割り込みや長時間の会議に時間を取られにくくなります。純粋に仕事に集中できる環境を自分で作れるのは、大きな強みです。
自宅を仕事場にできるフルリモートでは、自分にとって最適な作業環境を整えられます。
デスク、チェア、モニター、キーボード、すべて自分好みのものを揃えることができます。高さの合った昇降デスク、腰に優しい高機能チェア、目に優しい4Kモニター。オフィスでは支給されたものを使うしかありませんが、自宅なら自分への投資として環境を整えられます。
集中力を最大化する環境を自分でコントロールできる点は、フルリモートならではの強みです。
便利なことが多いフルリモートですが、注意すべきデメリットや課題も存在します。これらを理解した上で対策を講じることが、フルリモートで長く活躍するための鍵です。
監視の目がない環境では、自己管理がすべてです。
誰も見ていない環境だと、ついサボってしまったり、逆に働きすぎて休みを取らなかったりと、ペース配分を誤りがちです。スケジュール管理、生活リズム、健康管理ができないと生産性が低下し、クライアントからの評価も下がります。
「リモートだとダラけてしまい納期直前に追い込みになった」「オンオフの区切りが付けにくく常に仕事モードで疲弊した」、こうした声はよく聞きます。自分を律する力がないと、フルリモートは逆効果になりかねません。
対面と違い、表情や雰囲気が伝わらないため、信頼関係の構築に時間がかかります。
テキストやビデオ通話でのやり取りが中心になると、文章だけではニュアンスが伝わりにくいことがあります。軽い冗談のつもりが相手を不快にさせてしまったり、指示の意図を読み違えて手戻りが発生したりするケースもあります。
だからこそ、レスポンスの速さ、報告の丁寧さ、成果物の品質で信頼を積み上げる姿勢が重要になります。対面以上に「伝え方」を意識する必要があります。
一人きりで長時間作業していると、孤独を感じやすくなります。
オフィスなら雑談や同僚とのランチで気分転換できますが、在宅ではそうしたカジュアルな交流がありません。困ったときにすぐ隣の先輩に相談、といったことも気軽にはできず、心理的に孤立しやすいです。
対策としては、フリーランス仲間のコミュニティへの参加や、週に数回はコワーキングスペースを利用するなどが有効です。意識的に人と接する機会を作ることが大切です。
情報漏洩は即契約打ち切りにつながるリスクがあります。
カフェでの作業時ののぞき見防止、VPN利用、パスワード管理の徹底、ウイルス対策ソフトの導入、こうした基本的なセキュリティ対策は必須です。セキュリティ意識の低いフリーランスは、それだけで敬遠されます。
「在宅でも安全に仕事ができる人」であることを示すことが、クライアントからの信頼獲得につながります。
フルリモート案件は人気が高いため、案件獲得時の競争が激しいです。
場所に縛られず全国から応募できる分、一つの案件に多数のエンジニアが殺到します。特に高単価で条件の良いリモート案件は、募集開始後すぐに埋まってしまうことも珍しくありません。
クライアント側も応募が多い分、選考に慎重になりがちです。「常駐なら経験2年でOKだけど、リモートなら経験3年以上必須」といったハードルが上がるケースもあります。即戦力となる高いスキルがないと受注が難しいため、常駐案件から始めて段階的にフルリモートへ移行する戦略が堅実です。
メリット・デメリットを踏まえると、フルリモートに向いている人・向いていない人の特徴が見えてきます。
向いている人の特徴
「なんとなく通勤が嫌だから」程度の動機だと、フルリモートの課題に直面したときに挫折しやすいです。明確な目的がある人の方が、多少の困難も乗り越えられます。
向いていない人の特徴
向いていないタイプの人がフルリモートを目指すなら、まず常駐案件で経験を積み、自己管理スキルやオンラインでのコミュニケーション力を磨いてからチャレンジすることをおすすめします。
継続的にフルリモート案件を獲得し、安定した収入を得るためには戦略が必要です。技術力だけでなく、クライアントから「この人と働きたい」と思われる信頼構築が最も重要です。ここでは、案件獲得から信頼構築、単価アップまでの具体的な戦略を解説します。
フルリモート案件を安定的に確保するには、スピード勝負と徹底的な情報収集がカギです。
前述の通り、フルリモート案件は競争率が高いため、募集開始後すぐに埋まることが多いです。「この案件良いな」と思ったら即エントリーが鉄則。後で応募しようと思っていたら、もう締め切られていた…という経験をした人は多いはずです。
複数のプラットフォームを並行活用して、情報収集の幅を広げましょう。フリーランスエージェントに登録しておくと、非公開案件を紹介してもらえることもあります。案件サイトの新着情報をこまめにチェックし、気になる案件が出たらすぐに動ける体制を整えておくことが大切です。
また、エンジニアコミュニティや知人ネットワークから案件を紹介してもらうのも有効な手段です。「信頼できるあなただからこの在宅案件を任せたい」と声がかかることもあるので、日頃から人脈を築いておくとチャンスが広がります。
クライアントがリモートエンジニアに求めるのは、技術力だけではありません。顔が見えない相手に仕事を任せる以上、「この人なら安心して任せられる」という信頼感が何より重要です。
信頼されるエンジニアの特徴
リモートでは進捗が見えづらい分、こちらからこまめに報告することで「きちんと進んでいる」という安心感を与えられます。「言われなくても適宜報連相してくれるフリーランス」はクライアントにとって非常にありがたい存在です。
また、最初は常駐して信頼を得てからリモートに切り替えるという戦略も有効です。「絶対フルリモートじゃないと嫌だ」と最初から決めつけるよりも、柔軟に対応する方が結果的に近道になることもあります。一度信頼されれば「○○さんなら在宅でも大丈夫でしょう」と了解を得やすくなります。
高単価案件を獲得するには、自分のスキルと実績を効果的にアピールすることが重要です。
GitHubでのコード公開、技術ブログでの情報発信、ポートフォリオサイトの整備、こうした「見える化」が案件獲得競争で差をつけます。第三者から見て「この人はこんな仕事ができるのか」と一目で分かる状態を作っておきましょう。
エージェントの担当者に自分の強みをきちんと伝えることも大切です。担当者は営業代行でもあるので、自分を売り込んでもらう材料をしっかり共有しましょう。「○○システムの開発で処理速度を2倍に向上させた」といった具体的な成果数値があると、説得力が増します。
単価交渉は、初回契約後に実績を出してからが有効です。いきなり「単価を上げてください」と言っても通りません。スキルアップの結果、案件への貢献度が増したことを示し、それに見合う対価を提案しましょう。「○○の資格を取得した」「新しい技術を習得して生産性が上がった」といった具体的な根拠があると、交渉がスムーズに進みます。
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リモート案件は想像以上に豊富であり、スキルと準備次第で高単価案件も十分に獲得可能です。フリーランスエンジニアの約50%がリモート中心で働いているというデータが示すように、リモートワークはもはや特別な働き方ではなくなっています。
ただし、フルリモートで長く活躍できるエンジニアは、技術力に加えて「クライアントから信頼される力」を持っています。
報連相の徹底、レスポンスの速さ、成果物の品質、問題が起きたときの誠実な対応、こうした積み重ねが信頼を生み、継続発注や単価アップにつながります。顔が見えないリモートワークだからこそ、「この人なら任せて安心」と思ってもらえるかどうかが、成功の分かれ目です。
本記事のポイント
フルリモートという働き方は、正しく向き合えばフリーランスにとって強力な武器になります。自身の望むライフスタイルを実現しつつ、プロフェッショナルとして価値を提供し続ける、そんな理想的な働き方を、ぜひ目指してみてください。
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