フリーランスエンジニアの手取りは、年収の約65〜85%が目安です。たとえば年収500万円なら手取りは約420万円、年収1,000万円でも約770万円ほどになります。
会社員と違い、フリーランスは税金や社会保険料を自分で計算・納付しなければなりません。「年収が上がったのに思ったより手元に残らない」という声も少なくないでしょう。
本記事では、手取り計算の基本から年収別のシミュレーション、さらに手取りを増やす具体的な方法まで網羅的に解説します。独立を検討中の方も、現役フリーランスで収入最適化を図りたい方も、ぜひ参考にしてください。
フリーランスの手取り計算は、会社員とはまったく異なります。会社員なら税金や保険料が給与から天引きされますが、フリーランスは売上から自分で各種費用を差し引く必要があるためです。
このセクションでは、手取り計算の前提となる基礎知識を整理します。平均年収データや手取り率の目安、計算に必要な4つの要素を把握しておくことで、後のシミュレーションがぐっと理解しやすくなるはずです。
手取りとは、収入から税金・保険料・経費などを差し引いた「実際に自由に使える金額」のことです。
会社員の場合、給与所得控除があり、社会保険料の半分は会社が負担してくれます。しかしフリーランスは、これらを全額自己負担しなければなりません。
同じ年収500万円でも、会社員の手取りが約393万円なのに対し、フリーランスは約344万円と、50万円近い差が生じるケースもあります。この差を正しく理解しておくことが、独立の判断材料になります。
会社員からフリーランスへ転身する際は、額面の年収だけでなく「実際に手元に残る金額」で比較することが大切です。
フリーランスエンジニアの平均年収は約576万円という調査結果があります。ただし、年収300万円未満が31%いる一方で、800万円以上も約3割存在するなど、スキルや経験による収入差が大きいのが特徴です。
手取りの目安は年収の約65〜75%程度ですが、経費率や控除の活用状況によって変動します。
フリーランスの案件では月単価70万円前後が平均で、週5稼働なら年収800〜900万円台も十分に狙えます。ただし、その分だけ税金・保険料で差し引かれる金額も大きくなるため、しっかり把握しておきましょう。
フリーランスの手取りを計算するには、
の4つの要素が必要です。
計算式はシンプルで、「手取り=売上−経費−税金−社会保険料」となります。
経費はPC購入費や通信費、交通費などが該当し、売上の20〜30%が目安です。税金には所得税、住民税、個人事業税、消費税の4種類があり、社会保険料は国民健康保険と国民年金の合計となります。
これら4つの要素を正確に把握することで、より現実的な手取り額を算出できます。
フリーランスが納める税金・保険料は多岐にわたります。会社員時代は給与明細をあまり見なかったという方も多いかもしれませんが、フリーランスは自ら計算・納付するため正確な知識が必要です。
ここでは所得税、住民税、国民健康保険料、国民年金保険料、個人事業税、消費税のそれぞれについて計算方法と注意点を解説します。見落としがちな契約形態による税金の違いについても詳しく説明していきます。
所得税は、課税所得金額に応じて5〜45%の累進課税が適用されます。課税所得が高くなるほど税率も上がる仕組みです。
計算式は
(売上−経費−青色申告特別控除−所得控除)×税率−控除額
となります。
たとえば課税所得195万円以下なら税率5%、330万円超〜695万円以下なら20%です。
また、復興特別所得税として所得税額の2.1%が2037年まで課税されます。
青色申告で65万円控除を受けると、同じ売上でも課税所得を大幅に圧縮でき、税率区分を下げられる可能性があります。節税の第一歩として、青色申告の申請はぜひ検討してください。
住民税は前年の所得に基づいて計算され、市区町村民税と都道府県民税の合計で構成されます。
税率は一般的に所得割10%(特別区民税6%+都民税4%)と均等割(年間約5,000円)の合計です。
所得割の計算式は
(課税所得−所得控除)×10%
となります。
所得税とは異なり翌年に課税されるため、フリーランス1年目は住民税負担が軽いものの、2年目以降に前年所得に基づく高額請求が届く点に注意が必要です。
独立初年度に収入が大きく伸びた場合、翌年の住民税支払いに備えて資金を確保しておきましょう。
国民健康保険料は居住地の自治体ごとに計算方法が異なり、所得割と均等割で構成されます。
東京都世田谷区の場合、基礎分・支援金分の所得割率は約9.44%、均等割は年間約5.5万円です。年収600万円(経費30%)で年間約35万円程度の負担となります。
国民年金保険料は所得に関係なく定額で、2024年度は月額16,980円(年間約20万円)です。
これらを合計すると年間55万円前後の負担となり、会社員時代より高額になるケースがほとんどです。毎月の支出として必ず計算に入れておきましょう。
個人事業税は、事業所得が290万円を超えた場合に課税されます。フリーランスエンジニアは「請負業」として税率5%が適用されることがありますが、準委任契約で常駐する場合は対象外となるケースも多いです。
消費税は前々年の課税売上高が1,000万円を超えると納税義務が発生します。2023年10月からはインボイス制度が開始され、適格請求書発行事業者に登録すると売上1,000万円以下でも消費税納付が必要になりました。
年収が上がってきたら、これらの追加負担も視野に入れて手取りを計算することが大切です。
フリーランスエンジニアの契約形態は大きく「準委任契約」と「請負契約」に分かれます。この違いによって、個人事業税の課税有無が変わることをご存じでしょうか。
準委任契約は、クライアント先に常駐し指揮命令下で業務を行う形態です。会社員に近い働き方のため、個人事業税の対象外となることが多いのが特徴です。
一方、請負契約は成果物の納品を約束する形態で、法定業種の「請負業」に該当します。この場合、税率5%の個人事業税が課税されます。
たとえば年収700万円(課税所得337万円)の場合、請負契約では個人事業税が約2.4万円発生し、準委任契約より手取りが減ります。
契約書の内容を確認し、自分がどちらに該当するか把握しておきましょう。エージェント経由の案件では準委任契約が多い傾向にありますが、受託開発や個人で獲得した案件では請負契約になるケースもあります。
【関連記事はこちら】【完全ガイド】フリーランスエンジニアの単価・相場を徹底解説!
ここからは年収別に具体的な手取り額をシミュレーションします。条件は「東京都在住、青色申告(65万円控除)、経費率30%、扶養家族なし」を前提としています。
まずは一覧表で全体像を把握し、その後で各年収帯の詳細を確認していきましょう。
条件:東京都在住、青色申告(65万円控除)、経費率30%、独身の場合
| 額面年収 | 手取り額(目安) | 手取り率 | 月額換算 |
| 300万円 | 約254万円 | 85% | 約21万円 |
| 500万円 | 約417万円 | 83% | 約35万円 |
| 700万円 | 約557万円 | 80% | 約46万円 |
| 800万円 | 約634万円 | 79% | 約53万円 |
| 1,000万円 | 約770万円 | 77% | 約64万円 |
| 2,000万円 | 約1,430万円 | 71% | 約119万円 |
年収が上がるほど累進課税の影響で手取り率は低下します。実際の金額は居住地や控除状況で変動するため、あくまで目安として活用してください。
年収300万円、経費90万円の場合、課税所得は約97万円となります。
内訳は
で、税金・保険料の合計は約46万円です。手取り額は約254万円(手取り率約85%)となります。
この年収帯では所得税率5%に収まり、税負担は比較的軽めです。ただしエージェント手数料や実際の経費を考慮すると、会社員の手取りと大差ないケースも多いでしょう。
独立したばかりで年収300万円台の場合は、まず案件獲得と単価アップに注力することをおすすめします。
年収500万円、経費150万円の場合、課税所得は約237万円です。
内訳は
で合計約83万円。手取り額は約417万円(手取り率約83%)となります。
この年収帯から税負担が重くなり始めますが、経費や控除を工夫すれば課税所得を195万円以下に抑え、所得税率5%を維持できる可能性もあります。
副業フリーランスでも到達可能な年収帯であり、本格的に独立を検討するタイミングとしても適しています。
年収700万円の手取りは約557万円(手取り率約80%)、年収800万円では約634万円(約79%)となります。
この年収帯では所得税率20%が適用され、国民健康保険料も上限に近づきます。また課税所得が290万円を超えるため、個人事業税(約5〜8万円)が発生するケースも出てきます。
税理士への依頼を検討する時期でもあり、専門家による節税対策で手取りを10万円以上改善できるケースもあります。法人化の検討も視野に入れるべき年収帯といえるでしょう。
年収1,000万円の手取りは約770万円(手取り率約77%)、2,000万円では約1,430万円(約71%)です。年収が上がるほど累進課税により税負担が重くなり、手取り率は低下します。
1,000万円を超えると翌々年から消費税の納税義務も発生します。インボイス登録をしている場合は、売上の10%程度が消費税として差し引かれる点も考慮が必要です。
法人化すると法人税率は23.2%で済むため、所得税率33%(課税所得900万円超)を超える場合は会社設立による節税効果が大きくなります。税理士・社労士との連携が必須の年収帯です。
手取りを増やすには「収入を上げる」と「支出を減らす」の両面からアプローチすることが大切です。
ここからは控除の活用、経費計上、節税しながら将来に備える方法、単価アップの戦略を解説します。特に青色申告特別控除と小規模企業共済は活用必須の制度で、これだけで年間100万円以上の節税効果を得られるケースもあります。
青色申告を行うと、最大65万円の所得控除が受けられます。
条件は「複式簿記による記帳」「貸借対照表・損益計算書の添付」「e-Taxでの申告または電子帳簿保存」の3点です。
たとえば年収600万円・経費180万円の場合、65万円控除で課税所得は155万円となり、所得税は約5.8万円。白色申告(控除なし)だと約11.5万円となり、約5.7万円の差が生まれます。
会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)を活用すれば複式簿記も自動化できるため、フリーランスなら必ず青色申告を選択しましょう。
経費の計上漏れは課税所得の増加に直結します。
フリーランスエンジニアが計上できる主な経費は、PC・周辺機器、インターネット・通信費、コワーキングスペース利用料、技術書籍・セミナー費、打ち合わせ交通費・飲食費などです。
自宅で作業する場合は、家賃・光熱費の一部を「家事按分」で経費化することもできます。作業スペースの割合に応じて、20〜30%程度を経費計上するのが一般的です。
領収書・レシートは7年間の保管義務があるため、スキャンアプリで電子保存する習慣をつけておくと確定申告時に楽になります。
小規模企業共済は、月額1,000〜70,000円の掛金が全額所得控除となり、廃業時に退職金として受け取れる制度です。年間最大84万円の控除が可能で、所得税率20%の人なら約17万円の節税効果があります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)も掛金全額が所得控除対象で、年間最大81.6万円まで拠出可能です。
両制度を併用すれば年間165万円以上の所得控除となり、将来の資産形成と節税を同時に実現できます。フリーランスには退職金がないため、こうした制度を活用して自分で備えることが重要です。
節税には限界があるため、根本的に手取りを増やすには単価アップが欠かせません。
高単価案件を獲得するには、需要の高いスキル(クラウド、AI/機械学習、モダンフレームワークなど)の習得、上流工程(要件定義・設計)への関与、PM/リーダー経験の蓄積が有効です。
フリーランスエージェントの複数登録で単価相場を把握し、既存クライアントへの単価交渉も検討すべきでしょう。レバテックフリーランス利用者の平均年収は876万円に達しているというデータもあります。
【関連記事はこちら】【2026年最新版】フリーランスエンジニアの年収はいくら?差がつく案件探しと収入の実態・年収最大化戦略とは
フリーランスエンジニアの手取りは年収の約65〜85%が目安となり、年収が高くなるほど累進課税により手取り率は低下します。
正確な手取りを把握するには、所得税・住民税・国民健康保険・国民年金の計算方法を理解し、経費や控除を適切に活用することが重要です。青色申告65万円控除、小規模企業共済、経費の漏れない計上により年間数十万円の節税が可能になります。
そして、節税だけでなく高単価案件の獲得で収入自体を増やすことが、手取り最大化への近道です。
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