アジャイル開発のデメリットは2つあります。
・プロジェクトの方向性が変わりやすいこと
・スケジュールの管理が難しい
アジャイル開発は、スピード感をもって臨機応変に柔軟な対応をするため、方向性のグリップやスケジュール管理が難しいと言われています。
しかしながら、これら2つのデメリットは、開発方法次第で十分にカバーすることができます。
今回は、アジャイル開発の特徴を生かしつつも、デメリットを解消するためにはどうすればよいのか解決方法も紹介します。
アジャイル開発のメリットを知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
参考記事:アジャイル開発における最大のメリットとは?初心者が知っておきたい成功事例も合わせて解説
ここではアジャイル開発のデメリットを2つ紹介します。
アジャイル開発では、初期段階で細かな仕様を決めずに着手するため、ユーザーニーズに答えて改善を繰り返していると、当初の開発計画から大幅に変わってしまうこともあります。
DeFactoryでもプロダクトの自社開発を行なった際は、「分からないことが分からない状態」からスタートしました。
最初のプロジェクトの方向性を決める際は「どんな目的や目標で、何をすれば良いのか、またどのような着眼点を持てばいいのか」といったところから始めたため、多くの開発工数を費やしました。
DeFactoryが実践したプロジェクトの方向性の決め方は以下の通りです。
1.要件定義
2.市場リサーチ(市場性の仮説)
3.事業リサーチ(事業性の仮説)
4.優位性リサーチ(優位性の仮説)
5.実現可能性リサーチ(実現可能性の仮説)
6.検証
最初の要件定義では、ユーザーが欲しい機能をどのように設計し、費用感と開発期間はどれくらいかかるのか、ボトルネックになってくるのは何か、しっかり定義します。
・用途
・ユーザー
・ハードウェア、ソフトウェア設計
・目標性能
・制限事項
これらを表や図を使って要件定義にまとめることで担当者にも分かりやすい内容にします。
この定義に基づいて、クライアントとプロジェクトの方向性をすり合わせしていきますが、進めていく中で、要件定義の内容が変わるケースもあります。
また、2週間~1カ月程度の短いサイクルでローンチを目指すためには、開発側での正確な要求定義・要件定義のインプットと、密接でスピーディーなコミュニケーションが取れる発注者側の受け入れ態勢が必要になります。
受け入れ態勢が出来ていないまま着手してしまうと、コミュニケーションを取る機会が少なく、実装内容がユーザーの要望と異なり、クリティカルな指摘が出てきてしまうということもあります。
アジャイル開発では、何度も改善のループが発生することで、プロジェクトの方向性が変わり、予想を超えた費用が発生する可能性があることも押さえておきましょう。
アジャイル開発では、「要求→開発→テスト」を短期間のサイクルで開発するため、スケジュールや進捗状況の把握ができなくなり、当初の開発納期に間に合わなくなるケースがあります。
例えば、サイクルを回す中で発生したユーザーの指摘や未実装部分など、想定していなかった部分に開発工数を費やし、予定していた機能実装に手が回らず、予定通りにローンチできなかったということがあります。
スケジュール管理に遅れが出てしまう原因としては、開発側とユーザー側でアジャイル開発の根本的な理解が足りていないことなどが挙げられます。
短い期間で実装する要件を整理し、それを開発側に正確に伝えるためには、プロジェクトの開発時だけでなく、開発中もコミュニケーションをとり続けなければいけません。
加えて、ユーザーは、プロダクトの仕組みや特徴を理解する必要があり、実際にソフトウェアを使い、理解する時間を確保しなければいけません。
ユーザーは、日常業務をこなしながら、開発工数を確保することになるため、しっかり事前説明をしないで行なってしまうと、アジャイル開発の良さが減ってしまいます。
このようにアジャイル開発では、開発側とユーザー側で頻繁にやりとりをするため、双方のスケジュール管理が重要になってきます。
前章では、アジャイル開発のデメリットとして「プロジェクトの方向性が変わりやすい」「スケジュール管理が難しい」の2つを挙げました。
2つのデメリットを解決するための方法を紹介します。
一つ目のデメリットで「プロジェクトの方向性が変わりやすい」という点を挙げさせていただきました。
明確な目標やゴールを立て、めまぐるしく変化するユーザーの要求を迅速に実現するためには、ディレクションのできる「マネージャー」と「エンジニア」をアサインすることが大切です。
「マネージャー」には、メンバーの主体性を重視し、アジャイル開発のルールなどの決定権をエンジニアに任せ、エンジニアチームが自分たちで考え、成果を上げられるようにするスキルが求められます。
<マネージャーに求められるスキル>
・アダプティブプラニング
・アジャイル見積り
・価値ベースの優先順位
・評価設計
・リスクマネジメント
エンジニアやユーザーの悩みを聞き、アイディアを引き出し、メンバーが最高のパフォーマンスを発揮できるような体制を整えましょう。
一方、「エンジニア」には、実際にプロダクト開発を行い、プロダクトの価値を高めていく役割が求められます。
アジャイル開発では、メンバー間での役割分担は細かく行わないため、一人ひとりが自分の強みを活かして、自律的に行動することが求められます。
また、アジャイル開発では一気通貫で考え、開発を行うため、全員で同じものを作るための理解が必要になってくるため、コミュニケーションやチームワークなども重要になってきます。
<エンジニアに求められるスキル>
・ペアプログラミング
・テスト駆動開発
・バリューストリームマッピング
・協調的コミュニケーション
ここまでアジャイル開発におけるマネージャーとエンジニアに求められるスキルを紹介してきました。非常に多くのスキルを求められると感じたかもしれません。
DeFactoryでは、事業目線でプロダクト開発ができるマネージャー、実務経験5年以上のインフラ・フロント・バックエンドのエンジニアが在籍しており、お客様と伴走支援のコミットをしています。
プロジェクトの方向性をグリップするためには、メンバーアサインが重要だといえるでしょう。社内で対応が難しい場合は、外部のベンダーに依頼するのも1つの手だといえるでしょう。
2つめのデメリットで「アジャイル開発はスケジュール管理が難しい」とお伝えしましたが、解決策として、組織体制の変更が挙げられます。
組織体制の変更を行う上でのポイントは4つあります。
・パイロットチームを作る
・経営トップが積極的に関わる
・組織作りには時間がかかることを受け入れる
・ローコード開発を取り入れる
パイロットチームとは、既存の組織とは別にアプリ開発のための管理体制を作ることです。こうすることで、既存のスケジュール管理とは別軸で動くことができます。
また、このチームには経営陣直轄で、密にコミュニケーションをとりやすくするのが良いでしょう。
既存のスケジュール型から変更する際は、現場の反発を招く可能性もあります。したがって、大きな権限を持つ経営陣がいると周りの協力も得られやすいはずです。
また、スケジュールをコントロールしやすくするために、ローコード開発を取り入れるのも1つの手です。
ローコード開発とは、可能な限りソースコードを書かずに、アプリケーションを迅速に開発する手法のことでです。
開発工数を抑えることができるので、アジャイル開発のような短納期やリソース不足といった状態に対応しやすくなります。
アジャイル開発のデメリットを見事に克服した成功事例を紹介します。
中高生向けの映像授業サービスを提供している会社では、もっと中高生がスマホやタブレットで自由に授業を受けられる授業を考えていました。
そこでオンライン学習が普及していなかった時代に映像授業サービスを企画しており、ノウハウがなかったため、外部のベンダーに依頼を行うことにしました。
まずは、授業で培ったノウハウとどのような生徒が、どのようなタイミングで学習しているのかという行動調査データをもとに、効率よく勉強できる設計を実施しました。
開発途中では、何度も試行錯誤を繰り返すことで、「スマホを振ると講師に質問できる」といったようなアイディアも活かすことができました。
ベンダーと依頼者が一体となって実践→改善を繰り返すことで、アジャイル開発にありがちな「プロジェクト進行の遅れ」を見事に乗り越えたプロジェクトだと言えます。
関連記事:アジャイル開発とスクラム開発の違いとは?メリット5選・開発ステップも解説
今回は、アジャイル開発におけるデメリットをお伝えしました。
<アジャイル開発のデメリット>
・プロジェクトの方向性が変わりやすい
→ディレクションができるマネージャーとエンジニアをアサインする
・スケジュールの管理が難しい
→「スケジュール型」から「組織体制型」への変更
アジャイル開発のデメリットがあると言っても、開発手法を間違えなければアジャイル開発は十分可能です。
重要なのはプロジェクトにかかわるメンバー選定や組織体制だといえるので、もし社内リソースで難しい場合は、外部のベンダーに依頼するのも一つの手です。
DeFactoryでは、アイディア着想、ユーザーヒアリング、テストマーケティング、アジャイル・MVP開発と、プロダクト開発における立ち上げ支援を全力サポートいたします。
また、経験豊富なエンジニアと事業開発経験者で、開発だけでなく事業設計から「一気通貫」した事業開発の伴走を行ないます。
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