「事業開発」と聞くと、他部署を含めた会社全体あるいは他社をも巻き込み、1つの事業をつくりあげるイメージがあるかもしれません。
あるいは、ベンチャー企業の起業そのものを思い浮かべる方もいるでしょう。
今回は、そもそも「事業開発」とは何か、事業開発の担当者になったものの、何から始めればいいかわからない人に向けて、事業開発についての基本的な知識と事業開発を成功に導くためのポイント、求められる人物像について徹底解説します。
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事業開発(Business Development)とは、文字通り新しい事業を立ち上げることですが、全く新しいものを作るというより、成長する伸びしろのある事業を育て上げるイメージです。国内では、あまり馴染みのない言葉ですが、「BizDev」(ビズデブ)として海外や外資系企業では一般的な職種として認知されています。
事業開発(BizDev)の捉え方は、会社によって異なり、事業の成長フェーズによっても捉え方が違います。
例えば、メルカリでは「外部の事業者様との結びつきにより事業を拡大していくこと」と定義しています。新規事業の立ち上げに限らず、既存事業の拡大も含んでおり、自社のマーケティング活動のほか、「アライアンス」や「M&A」も活用することなど広範囲に渡ります。
また、マネーフォワードでは、個人や企業の”お金の課題”を解決するためにクラウド型会計ソフト「MFクラウド会計・確定申告」をはじめにリリース。その後、会計業務に付随する請求書や経費精算のサービスに事業展開をしています。
事業開発には3つのフェーズがあり、各フェーズで事業開発の役割は変化していきます。
フェーズ1では、顧客課題の発見と課題の解決策を見出し、実現可能なサービス・プロダクトを探ります。
フェーズ1で発見した課題と解決策を軸に、ビジネスモデルを作り上げるのがフェーズ2。成長が加速し、収益モデルを構築する時期です。そのビジネスモデルから新規顧客を獲得、事業拡大・事業再構築をはかるのがフェーズ3です。
先にご紹介したメルカリ・マネーフォワードは、フェーズ2の「急成長期」にあたり、
事業開発は、フェーズごとに求められる内容・すべきことが多岐に渡り、刻々と変化していくのです。
事業開発(BizDev)は、サービスやプロダクト開発の過程で発見される不足分、すなわち機能・販路・連携・売上などの”事業として不成立な部分を発見し補いつつ、完成に近づける作業”といえるでしょう。
事業開発の悩みは大きく3つ。
新規事業開発をしたいが、アイディアを生み出せないという悩みを抱えている企業は少なくありません。何もないところから、まったく新しいアイディアを出すのはどんなに優秀な人でも難しいもの。
既存のアイディアと組み合わせたり、他社の成功事例からヒントを得たりすることで新しいアイディアが生まれてくることもあるでしょう。
また、優秀な技術力・リソース不足、特に人手が足りないという声をよく聞きます。社内のみならず、場合によっては社外との調整もしながら両社の舵取りをしていかねばならないため、バランス感覚の優れた人材が求められるのです。従業員が少ないスタートアップ企業などは、事業開発者に負担がかかるケースも少なくありません。
しかし、近年、少し視点を変えて社外へリソースを求める「オープンイノベーション」の動きも出てきています。
オープンイノベーションとは、プロダクト開発や技術改革、研究開発など、自社以外の組織や機関の持つ知識や技術を取り込んで、自前主義を脱却すること。
発想を少し変えて、自社で完結することから社外へのリソースを求めることで技術力が向上するなど、結果として自社の資産へつながるケースもあります。
更に、課題のひとつとして、新規事業をすすめる際に、どんなプロセスで進めればいいのか分からない、PDCAサイクルが上手く回せないというものがあります。
この問題を解決するには「リーンスタートアップ」の手法を用いるとよいでしょう。
時間を無駄にせず労力をそぎ落としてプロダクト開発をしていく手法は、新規事業開発の場面に向いているマネジメント手法です。
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事業開発を進めるには、アライアンスの提携はもちろん、他者の協力を得る作業は必須です。
事業開発(BizDev)担当者による他者の協力を得るためのポイントは3つ。
事業開発における定義が各社で異なるように、担当者が担っている役割や立場もそれぞれ違います。
相手の声を聴き、相手の立場を考慮し、相手に合わせた提案をしていく。
他者の協力を得るためには「相手」を尊重し、しっかり理解することが大切です。
事業開発は、大変なイメージばかりが先行してしまうかもしれません。
しかし、事業開発ならではの面白さもあります。
生みの苦しみや「もう無理だ」と思うような局面にありながらも、諦めずに粘り、どこかに打開策を見出していく。
この事業をなしとげることで日本経済が成長し、国が豊かになる。
ビジョンを形にし、想定以上のものができあがり、新たな価値観が生まれ、世の中の流れが変わる。
そんなところに面白みを感じられる人は、事業開発(BizDev)は向いているといえるでしょう。
事業開発と似ている言葉に「事業企画」「経営企画」が挙げられます。事業企画は、会社の方針に基づき、事業計画の作成・推進、事業課題の設定等を行います。
一方、経営企画は、会社が成長するための戦略を企画・立案する部署。会社経営に焦点を当て、中・長期的な視点で経営サポートを行います。
事業企画・経営企画共に、キーワードは”会社全体”ですが、事業開発は”1つの事業”に対しての方向性や目標設定を行い、業務を拡大・成長させていくものです。
事業開発をうまく進めていくには、いくつかのポイントがありますが、開発手法によるところも大きいです。前述したように「リーンスタートアップ」の手法を用いることが多いのはそのためです。
リーンスタートアップとは、「リーン(lean):無駄がない」と「スタートアップ(startup):立ち上げ、起業」からなる言葉です。
新規事業を最小限のコスト・短いスパンで小さくはじめて市場の反応を分析し、何度も改良や修正を繰り返しながら製品をブラッシュアップする手法です。
あっという間に変化し多様化する市場ニーズに対応するには、無駄な時間や経費をかけることなくスピーディで柔軟に収益化の可能性が求められる事業の立ち上げが必要です。
”リスクを最小限に抑えつつ、何度もトライする”ために「リーンスタートアップ」の手法を用い、「仮説を立てて検証する」流れをスピーディに繰り返す、アジャイル開発やMVP開発を行うことが成功のカギです。
DeFactoryでは、MVP開発や、リーン開発・アジャイル開発によるサービス開発を得意としており、「計画~実装~テスト」のサイクルを最短14営業日で行ないます。経験豊富なエンジニアとマネージャーが支援しますので、新規事業開発に不安のある方も安心してお任せいただけます。
関連記事:【初心者向け】リーン開発とは?アジャイルやスクラム開発との違いも解説
事業開発の成功にはターゲットのニーズ、特にユーザーの潜在意識にアプローチすることが重要です。
市場にニーズのないプロダクトを開発しても、新規事業開発を成功に導けません。
ユーザー自身が求めている願望・欲求があるのに気づいていない「潜在ニーズ」。その欲求そのものに気づいていない「ユーザーインサイト」を発見することが、成功の可否を決めるポイントです。
ユーザーインサイトを導き出すには、ユーザーの言動・思考・感情を探ること。
「アンケート調査」「インタビュー」「行動観察」「ソーシャルリスニング」などさまざまな手法がありますが、特にオフラインのユーザーヒアリングが有効だと考えています。
ユーザーの声を直接聴く機会をなるべく多く生み出し、ターゲットにヒアリングをすることで課題の解像度が上がります。
事業開発の成功の要ともいえる人材育成。チームの意欲を高める環境づくりは、熱意やアイディアをもった共通の認識をもつ社員を中心に、少人数での組織が望ましいでしょう。
更に、前述したように外部の経験豊富な人材を取り込むことで、チームが意欲的に活動できる環境が理想です。
DeFactoryでは、新規事業開発の経験豊富なエンジニアとマネージャーがアイディア着想の段階からプロダクト開発における立ち上げ支援の伴走をいたします。新規事業開発に不安のある方も安心してお任せいただけます。
事業開発の成功のカギを握るともいえる人材。その人材に必要なスキル・要素として下記の点が挙げられます。
新たに事業をスタートするため、これまでの固定観念に囚われた人では難しいでしょう。柔軟に新しい発想やアイディアが出せるだけでなく、それを受け入れる許容性も持ち合わせた人物が望ましいでしょう。
新しいアイディアを出すだけでは、プロジェクトは進みません。企画を裏付ける情報力・調査力、出てきたデータを分析するスキルも求められます。分析するだけでなく、分かりやすくまとめられる能力も必要です。
事業開発では、事業アライアンス、M&Aを直接主導はしなくても、目線は常に経営者と同じかそれ以上であることが求められます。場合によっては経営者に助言できるくらいの豊富な知識と経験を備え、多くの部署・他社を巻き込み、まとめて引っ張っていく力が必要とされます。
リーダーシップだけでは人はついてきません。多くの人に新しい事業を理解してもらい、協力してもらうためには、人を動かす力、コミュニケーション能力を要します。
チャレンジが必要な難しい場面でも、コミュニケーション力、熱意の伝わるプレゼン力で、他者の協力を得られ、乗り切ることができるケースも少なくありません。
個別のスキルよりも、「人間力」「人間的な魅力」がある人が向いているといえるでしょう。
新規事業開発では、アイディアが企画になったらすぐに動けるスピード感が必要だったり、
します。時間との闘いであることも多いため、フットワークよく、上手に立ち回りのできる人材は貴重です。
また前例のない事業開発は、トライ&エラーの連続です。失敗のたびに落ち込んでいるようでは前に進みません。「失敗は成功へのプロセス」と捉え、前向きにチャレンジしつづけるメンタルの持ち主が適しています。
関連記事:プロダクト開発とは?持続的な会社の成長に欠かせない理由と開発の流れを解説
事業開発という仕事は、まだ国内ではあまり認知されていない、新たな業種かもしれません。時代の変化が激しい今、既存事業のみでは心もとなく、立ち行かなくなる側面もあり、事業の新陳代謝を促す事業開発を行うことは、企業の必須業務ともいえるでしょう。
とはいえ、事業開発をどのように行っていけばいいのかわからない経営者の方も多いのではないでしょうか。
DeFactoryでは、アイディア着想、ユーザーヒアリング、テストマーケティング、アジャイル・MVP開発と、プロダクト開発における立ち上げ支援を全力サポートいたします。
また、経験豊富なエンジニアと事業開発経験者で、開発だけでなく事業設計から「一気通貫」した伴走を行ないます。
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