ラボ型開発のメリット・デメリットとは?課題と注意点も併せて解説

近年、自社のリソースではプロダクト開発が困難になり、ラボ型開発を検討する企業が増えています。

ラボ型開発とは、主に海外の人材を活用した外部のエンジニアチームに開発を外注すること。正規雇用とは異なり、リモートによる人材確保ができるので、コスト削減・ノウハウの蓄積などのメリットから注目が集まっています。

しかし、ラボ型開発にもデメリットや課題があるのも事実です。

この記事では、ラボ型開発のデメリットや課題について詳しく解説すると共に導入する際の注意点にも触れていきます。

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1.ラボ型開発とは?

「ラボ型開発」とはオフショア開発の開発形態のひとつです。委託先の企業専用チームをつくり、一定期間(半年から1年間)の契約を結ぶ「準委任契約」での開発です。

1-1.オフショア開発とは?

オフショア開発とは海外にある企業や現地法人へ開発を委託・発注する開発手法のこと。

海外へ委託する理由のひとつは、日本のIT及びIT人材の不足です。

国内では人件費が高く、コスト削減のためにオフショア開発が注目されていましたが、近年は単にコストを抑えたいという理由だけでなく、高い技術力を目的として海外に委託する企業も増えています。

日本が進出しているオフショア開発先として人気が高いのは、中国・インド・ベトナム・インドネシアなど。特に近年、親日で真面目な国民性などの要因からベトナムが人気を集めています。

1-2.請負型契約とラボ型契約(準委任契約)の違い

ラボ型開発は「契約を結んだ一定期間はエンジニアチームを確保できる開発手法」であり、契約期間内であれば、プロジェクトの内容や進捗に対応した変更も可能です。

一方、請負型開発は要件定義がある程度明確で、成果物の確実な納品・プロジェクトの完成を目的としており、開発内容が変更した場合には新たに契約をするなどの手続きを要します。

請負型開発ラボ型開発
契約形態請負契約準委任契約
選ばれるケース・要件定義が明確・単発的に発注したい・要件定義が明確でない(変更される可能性が高い)・中長期的な連携のもと、 新規事業を立ち上げたい・優秀な人材を一定期間 確保したい・オフショア開発のノウハウ を蓄積したい
責任の範囲業務の完成業務の遂行
開発モデルウォーターフォール型アジャイル型あるいはウォーターフォール型
開発体制開発者が決定お客様と合意のもと決定

システムの要件や仕様がまだ不確定な状態で、チームで検討しながら中長期的に開発を進めたい場合は、ラボ型開発が適しているでしょう。

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2.ラボ型開発のデメリットとは?

一定期間優秀な人材を確保できるとして人気のラボ型開発ですが、ここではデメリットについて詳しくみていきましょう。

2-1.開発チーム構築に時間を要する

仕様の変更を前提としたラボ型開発では、完成品(成果物)の仕様にズレが生じて質の悪い開発にならないよう、メンバーへの指導や細かい指示が必要です。

中長期的に円滑なコミュニケーションを行う体制を整えるなど、お互いの信頼関係を構築するための手間と時間も要します。

チームを結成してすぐの時期はなかなかスムーズに進まないことも、あらかじめ考慮しておくとよいでしょう。

2-2.開発チームの費用対効果上昇リスク

一定期間中に専属チームを確保する契約形式なので、契約期間中は必ずコストが発生することを考えると人材リソースを無駄にできません。一定量の業務をコンスタントに発注する必要があります。

発注プランや依頼する内容が定まっていないと、コスト削減どころかリソースの無駄遣いになる可能性も。

また、言語や文化の違いによるコミュニケーションの問題もあります。コミュニケーターの配置など、国内でのチーム編成とは異なりコミュニケーションコストも必要です。

2-3.開発の質の保証はない・人材の見極めの必要性

プロダクト開発のレベルに合わせた人材との契約ができるよう、一定レベルの技術をもった人材確保が必要です。

スキルのみならず、人間性も考慮しなくてはなりません。一緒にプロジェクトを進めるにあたり、お互いの意見を尊重してスムーズなコミュニケーションがとれる関係性はとても大切です。

また、企業によっては意図的にエンジニアの質を落とすケースも。

優秀な人材を得るためには、委託側と受注側の信頼関係の構築がポイントでしょう。

2-4.物理的な問題

現地エンジニアと日本語でのコミュニケーションの課題はもちろんですが、時差の都合でリアルタイムでコミュニケーションを図るのが難しい面もあります。

時間を決めてのオンライン会議を前提とした取り組みはもちろん、委託先はなるべく時差の少ない地域を選ぶことも検討要素です。

3.ラボ型開発のメリットとは?

ラボ型開発のメリットについては次の点が挙げられます。

  • 優秀なエンジニアの確保によるコスト削減
  • 開発ノウハウの蓄積
  • 仕様変更などの柔軟な対応可能

ラボ型開発は、基本的に国内より人件費が安い傾向にあります。一定期間エンジニアを確保できるので、社員雇用における手間とコストを抑えることができます。

請負型契約では納品完了後の変更の場合、追加費用が発生することがありますが、ラボ型契約では、契約期間内であれば追加費用の発生もなく想定外の支出を回避できます。

また、チームを編成してプロジェクトに取り組むため、契約期間は基本的に同じメンバーです。請負型契約では改めて情報共有する必要がありますが、ラボ型契約はノウハウが蓄積されているので、あらたな情報共有の必要もなくスムーズに対応できます。

ラボ型開発のメリットについて、こちらでも詳しくご紹介しています。

関連記事:ラボ型開発とは?請負型開発との違いとメリット・デメリットを徹底解説

4.ラボ型開発と請負型開発、どちらがおすすめ?

内部にリソースをもっていることが多い日本企業。

通常プロジェクトごとに「請負契約」を結んで請負型開発を行うことが多いですが、実際にはどちらの開発が向いているのでしょうか。

4-1.ラボ型開発に向いている開発・向いていない開発

<ラボ型開発に向いている開発>

ラボ型開発は、発注段階ではプロダクト開発の方向性が定まっておらず、進捗状況と共に判断しながら進めたい下記のようなプロジェクトに向いています。

  • 自社既存サービスの開発
  • ベンチャーやスタートアップにおける新規開発
  • 社員のリソースが不規則な開発会社

<ラボ型開発に向いていない開発>

一方、ラボ型開発に向いていないのは、ある程度タスクが明確で開発手順が既に決定している開発です。

  • デザインなど感覚的な作業を必要とする開発
  • システム開発など短期間で作業が完了する開発

このような開発は、従来のウォーターフォール型と同じように開発手順通り行います。ウォーターフォール型の開発は、開発工程ごとにタスクが明確で開発の管理がしやすいことがメリットですが、前工程に戻ることができないというデメリットがあります。

ユーザーの声に合わせた開発や素早く柔軟な対応は、ラボ型開発の方が向いています。開発手法は必要最小限の単位で実装とテストを繰り返すアジャイル開発を用いるケースが多いです。

DeFactoryでは、「計画→実装→テスト」のサイクルを最短14営業日で行います。アイデア着想からプロダクト開発まで、経験豊富なエンジニアとマネージャーが伴走しますので、アジャイル開発には自信があります。

関連記事:【初心者向け】アジャイル開発の3つのプロセス手法とは?

4-2.ラボ型開発の課題とは?

ラボ型開発で挙げられる課題は次の点です。

  • 品質管理体制が十分でない
  • 開発プロセスの問題
  • 言語・習慣の違いによるコミュニケーション問題

開発コスト削減や納期短縮を目的としてラボ型開発を選択したにもかかわらず、品質管理が不十分だと修正に多くの工数がかかり、納期遅延・コストの増大につながります。

プロダクト開発の現場では、開発チーム・品質管理チームそれぞれ別のプロジェクトに参加していることも少なくありません。チームが一体となって品質担保を図れるような体制の構築が重要です。

また、ラボ型開発では開発初期から要件が完全に固まっていないケースも多いもの。発注側の人材が不足していると要件定義の段階で細部まで決まらないまま開発が始まり、開発期間中に仕様変更が多発するなどプロセスの不備が生じます。結果として品質管理が保たれない状態になることも。

さらに、言語や文化・習慣の違いによるコミュニケーションの問題もあります。前述のとおり、日本と海外の距離・時差など物理的な問題からミーティングの時間も限られてしまい、十分なコミュニケーションが難しいという側面も。

現地にいないので、開発の進捗をリアルに掴みにくいという点でのミスマッチや認識の祖語などから納期遅延につながる恐れもあります。

仕事に対する意識、納期に対する認識の差など、日本と同じ感覚ではないことを意識し、余裕をもったスケジュール調整が大切です。

4-3.ラボ型開発の注意点とは?

ラボ型開発の課題を踏まえた上で、どのような点に注意していけばいいのでしょうか。

  • ラボ型開発に適した案件か
  • 開発会社の技術は十分か
  • コミュニケーションの課題はないか

当然ですが、依頼する際は案件内容との相性を見極める必要があります。自社でも対応可能な案件であれば、わざわざ開発チームを雇う必要はありません。

また、海外チームの人材がどのようなスキルセットを持ち合わせているかも重要です。エンジニアにより得意・不得意はありますが、実際に開発する内容との適合性なども見ておく必要があります。

更に、現地開発チームとのコミュニケーションの問題は何よりも重要です。日本語が通じないことによる微妙なニュアンスの違いなど、意思疎通がうまくはかれない場合もあるでしょう。

これまでの事例を確認しながら、自社で導入した場合どのようなコミュニケーション・手順で行っていけるかを検討していきましょう。

ラボ型開発の検討は自社で判断するには難しい面もあります。場合によっては、海外に委託するより国内で検討する方が適しているケースもあります。

DeFactoryでは、経験豊富なエンジニアと事業開発経験者で新規事業立ち上げから開発まで一気通貫、全力でサポートが可能です。開発に関する相談も随時承っております。

関連記事:新規事業開発を成功に導く2つの手法 リーン開発・アジャイル開発とは?

5.まとめ:「ラボ型開発」に関する支援を承ります

ラボ型開発について、デメリットや課題、注意点についてご紹介しました。

日本の人材不足を補うラボ型開発は、変更や修正を前提とした仕様の定まっていないプロダクト開発とはとても相性のよい契約形態です。

今回ご紹介したデメリットや注意点もしっかり理解した上で、新規プロダクト開発の際に導入を検討してみるのもよいでしょう。

DeFactoryでは、アイディア着想、ユーザーヒアリング、テストマーケティング、アジャイル・MVP開発と、プロダクト開発における立ち上げ支援を全力サポートいたします。 

また、経験豊富なエンジニアと事業開発経験者で、開発だけでなく事業設計から「一気通貫」した伴走を行います。 

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この記事を書いた人
DeFactory代表取締役 事業開発、デジタルマーケティング(検索領域)、グロースハックが得意領域です。 事業の壁打ちのご相談お受けしております!

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