MVP開発を検討する場面でよく耳にするのが「アジャイル開発」「リーン」などの言葉ではないでしょうか。
「MVP開発」と「アジャイル開発」そして「リーン」は一体どのような関係性をもっているのでしょうか。
この記事では、MVP開発について詳しく解説すると共に、アジャイル開発やリーン開発のプロセス、更にDX推進との関係性についてもご紹介します。
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MVPとは「Minimum Viable Product」の頭文字の略で「必要最低限の機能だけを搭載した製品」の意味。
対象ユーザーに対して「このようなサービスが求められているのではないか」という仮説のもと、必要最小限の機能を備えたプロダクトを提供し、ユーザーからのフィードバックを早い段階で得ることができる開発手法です。
本来なら完成品を世の中に出せばいいのに、なぜわざわざMVPを作るのでしょうか?
それは「製品・プロダクトの正解がわからないから」。
世の中にどのようなプロダクトが求められているのか、市場に出してユーザーの反応を見るまでわからないのが現実です。
完成品でないMVPの段階で市場に出せば、仮に方向性が間違っていた場合の軌道修正が素早くできます。正式リリースまでのコストと手間を考えると、MVP開発は大幅なロスを防ぐことができ、また不要な機能を削ぎ落しながら開発するため、経営効率の面でも大きなメリットだといえるでしょう。
MVP開発のメリット・デメリットを解説します。
MVP作成はユーザーのフィードバックをもとにプロダクトを完成させるため、ユーザーや市場のニーズを正しく反映できます。
必要最低限の機能の搭載で、改善・改良していくことが前提なので無駄な機能を開発することなく、時間とコストを抑えながら市場に求められるプロダクト開発が可能です。
また、市場への投下が早い分、競合他社に先手を打つことができ、新規ビジネスモデルとして市場で優位に立つことができる点も大きなメリットです。
必要最小限のスタートで始めるMVP開発は、複雑な開発には不向きです。「構築・計測・学習」のサイクルを繰り返すため、開発コストが高いものも向いていません。
また、不確定な要素が多く、何度もサイクルを回すうちに当初の目的がわからなくなりゴールを見失ってしまう可能性も。ユーザーニーズを見失わないことが大切です。
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「MVP開発」について調べていると、「リーンスタートアップ」「アジャイル開発」などの言葉を目にする機会も多いのではないでしょうか。
リーンスタートアップとは、著者エリック・リースが書籍『リーンスタートアップ』の中で提唱したスタートアップ論。「リーン」(Lean)とは、「(余分な脂肪などない)引き締まった」「(組織が)効率的な、スリム化した」の意味。
必要最小限の経営資源でムダを省き、コストを抑えながら顧客価値を最大に導き出すのがリーン開発の目的です。
一方で、アジャイル(Agile)とは「機敏な、素早い」「頭の切れる(回転が速い)」などの意味をもつ言葉。
アジャイル開発は、「プロダクト開発」を目的として小さな単位での「計画→設計→実装→テスト」を繰り返し行う開発スタイルで、開発全体の時間を短縮するものです。
リーンスタートアップでは、プロダクト開発の現場で「アジャイル」の手法を用いることが多いのです。リーンスタートアップのような短い時間で効率よく結果に導くことを目的としている場合、アジャイル開発手法は相性がよいのです。
その開発におけるユーザーへの試作品として用いられるのがMVP。必要最低限の機能を備えたMVPは、リーンスタートアップの目的達成のために最適なのです。
リーンスタートアップは「仮説構築→計測→学習→意思決定」の4つのプロセスを、最小限の作業単位で実装とテストを実施、プロダクト開発全体にかかる時間を短縮化する開発手法です。
・仮説構築
アイディアを仮説として、ユーザーニーズに合った新しいプロダクト・サービスの企画、学びを構築します。
・仮説の計測
仮説に基づいてユーザーの反応を聴きながら検証を行い、MVPで市場の反応を測定し、ユーザーニーズに近いサービスの開発に近づけます。
・学習
「計測」の結果をもとに、MVPの改善・改良。当初の仮説に問題がなければ、プロダクトやサービスの改良にとりかかり、軌道修正を行います。
もし、改善を続けても効果が表れない場合、当初のアイディアに固執することなく方向転換も必要です。できるだけ早い段階で構築から練り直し「計測→学習」のサイクルを実施します。
・意思決定
構築・検証しても、思ったような結果が得られないケースも。仮説そのものが間違っていたと判断できる場合は、撤退の意思決定も重要です。
MVP開発の主な検証プロセスは次のとおりです。
解決したい課題やゴールを設定し、ゴール到達に必要な最低限の機能に絞り込みます。その上で、必要最低限の機能を搭載したプロダクト・サービスを開発。
実際にユーザーに作成したMVPを使用してもらい、プロダクトやサービスに関するフィードバックを得ます。
フィードバックで得られた声をもとに、追加機能の開発・改善・実装を繰り返します。
MVPを用いた開発は、改善・改良を何度も繰り返すため「変更があることが前提条件」ともいえます。
その前提条件に対する重要なポイントは3つ。
前述の通り、MVP開発と相性のよいアジャイル開発で進めることがポイントです。MVPは「仮説検証→ユーザーの反応→検証」を繰り返して行うもの。仮説検証サイクルのスピードと精度が上がることで、より求められる製品・プロダクトに近づけることができます。
大きな規模では何度も検証を繰り返すことが、時間・コスト共に難しくなります。アジャイル開発のような小さなステップで進めていくことで、失敗確率を減らしていきます。
また、ユーザーニーズの正しい理解は「製品・プロダクト開発」において最も重要だといっても過言ではありません。繰り返しになりますが、ユーザーニーズのない製品・プロダクトは市場に投下しても意味がありません。
特にMVP開発では「本当に必要で最小限作るべきものは何なのか」を徹底的に突き詰めるか否かで結果が変わってくるでしょう。”ユーザーニーズを満たした”必要最低限の機能のみを実装し、素早く検証可能な状態にすることが重要です。
「誰にとっての最小限なのか?」
「誰のためのMVPなのか?」
「何を検証するためのMVP開発なのか?」
目的を見失わないためにも、常に「誰にとっての何の課題を解決するために、どのようなプロダクトが必要なのか」をチーム全体で考えることも必要です。
ユーザーの反応によって、改善・改良を繰り返すことが前提となるMVPでは、素早く対応できる柔軟性とそれに伴う技術力はもちろんですが、コミュニケーション力が重要です。
コミュニケーションはどのような場面でも求められるスキルですが、MVP開発においても例外ではありません。
特にスピードを必要とする現場では、社内・社外問わず関わる全ての人とのコミュニケーションがしっかり取れていないとうまくいきません。
開発チーム全体で、プロジェクトの全容を把握し、仕様変更がある場合にはその意図や理由を理解した上で、即時対応できるチーム全体の一体感も重要な要素です。
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DXとは「DX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)」のことで、進化したデジタル技術で人々の生活をより豊かなものにしていくもの。「データやデジタル技術によるビジネスの変容」を意味しています。
変化し続ける市場のニーズに合わせ、従来にはない新たな技術やアイディアをいち早くビジネスモデルとして生み出す必要があります。
実は、MVPはDX推進の観点からも注目を集めています。必要最低限の機能を搭載し、ユーザーの反応からプロダクトを改良・改善していくMVP検証は、正解の見えないDXを推進する上で求められる要素なのです。
DXにおいて重要なのは「ユーザーに対して新たな価値を提供すること」。
そのためには、ユーザーニーズを満たすプロダクトやサービスのコンセプト設計が求められます。革新的な技術・概念があったとしても、ユーザーニーズのないものは市場では相手にされません。
必要最小限の機能を搭載したMVPを作成することで、ユーザーにいち早く使用してもらい、フィードバックを得られます。実際の現場の声を聴くことで、ニーズに沿った機能の改善・改良を行い、プロダクトを完成へと導きます。
ユーザーからの声を反映する段階は、軽微な修正もあればコンセプト設計から見直しが必要なケースも。そのため、コンセプト設計から仮説検証まで一連のPDCAサイクルとして回しながらプロダクトやサービスの完成へと導きます。
この仮説検証がMVPにあたります。細かい検証を行いながらプロダクトやサービスの方向性を決めていく上で、MVPが欠かせない要素となるのです。
とある配送業界のDXを推進しているスタートアップ企業では、物流業界で深刻化しているドライバー不足・ドライバーの高齢化の課題がありました。
この問題に対し、業務フローの属人化の防止、配送ドライバーの業務サポートにつながる新規サービスの開発を企画。
実際に配送業務を行っているドライバーにフィードバックを得ることで、「改善を繰り返すこと」をあらかじめ想定して、アジャイル開発でのプロジェクトをスタート。
キックオフからわずか3ヶ月の短い期間で、必要最低限の機能を搭載したβ版のAndroidアプリを開発。
その後、実証実験を施し、ドライバーの声を聴きながら各種テストを経て、プロジェクト開始から約6ヶ月でネイティブアプリが誕生しました。
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MVP開発では、早いスピードとコストを抑えられることがメリットです。必要最小限の機能での開発は「本当に必要な要件・機能は何なのか?」など開発の背景や検証意図をチームでしっかり理解することが大切です。
DeFactoryでは、アイディア着想、ユーザーヒアリング、テストマーケティング、アジャイル・MVP開発と、プロダクト開発における立ち上げ支援を全力サポートいたします。
また、経験豊富なエンジニアと事業開発経験者で、開発だけでなく事業設計から「一気通貫」した伴走を行ないます。
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