プロダクト開発や新規事業開発に携わると、「MVP開発」という言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。
ビジネス環境の変化が激しい今の時代は、ユーザーのニーズに素早く対応できる現場の力を求められます。
MVP開発は、このような時代に適した開発手法として多くの新規事業開発の場面で活用されています。
この記事では、そもそもMVP開発とは何か、新規事業に適している3つの理由、MVP開発を成功させるためのポイントについてもご紹介します。
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MVPとは「Minimum Viable Product」の頭文字の略で「必要最低限の機能だけを搭載した製品」という意味です。
最小限の機能を備えたプロダクトをユーザーに提供し、機能の改善・追加を繰り返す場合に使われます。
プロトタイプと似ていますが、プロトタイプはデモンストレーションや量産する前の課題をあぶり出すために作られたプロダクトのことで、必ずしも必要最低限の機能を搭載しているわけではありません。
MVP開発は、対象ユーザーに対して「このようなサービスが求められているのではないか?」という仮説をもとに、実装を必要最小限にし、素早くリリースすることでユーザーからのフィードバックを早い段階で得ることのできる開発手法です。
仮説が正しいか否かを早い段階で実証し、開発に反映することでリスクを抑え、失敗確率を減らす=成功確度を高めることが可能です。
そもそもMVP開発の目的とは一体何でしょうか?ここでは、3つの目的をご紹介します。
①仮説検証をしやすくするため
「新規事業は90%の確率で失敗する」ともいわれています。
市場の変化の激しい今の時代は、何が最適解なのか、市場に送り出してみないとわからないという側面もあります。
そこで、新規事業開発では仮説を立て、それを小さな単位で早く市場に出してユーザーの反応を得て、検証・改善するといった一連の素早い動きが必要なのです。
②ユーザーニーズを迅速に把握するため
最初から完成品の制作に向けた開発では、最終段階に入るまでユーザーの反応がわからず、結果的にニーズのない(ユーザーに使われない)製品を送りだしてしまうことになりかねません。
仮説に基づき、まずは必要最小限の機能を備えた小さな単位で、ユーザーの反応を確かめます。ユーザーのフィードバックをもとに検証を繰り返し開発することで、事業の失敗確率を減らし、成功へと導けるのです。
③不要なコスト削減
完全な製品になってからの対応はスケジュール・コスト面等、大きな負荷がかかります。
開発予算を大きくかけて、高性能なサービスを開発したとしても、それがユーザーの求めるものでなければ売上が伸びないのはもちろん、サービスの維持費用だけがかかり、経営にも影響を与えかねません。
MVP開発では、完全な製品になる前にユーザーのフィードバックを得られることで、課題が明らかになり、仮に失敗しても即時改善など対応が可能、無駄なコストを抑えた開発ができるのです。
万が一、ほぼ完成しているプロダクトがあり、確実に成功するとわかっているのであればMVP開発は必要ありません。最初から完成品を製作すればよいのです。
しかし、どのようなプロダクトがベストなのか、新規事業の開発が成功するのか否かは市場に投下してみないとわからないのが現状です。
関連記事:新規事業開発のプロセスとは?5つのステップと3つの成功事例
これまでのプロダクト開発のプロセスは、実装する機能などを明確にする段階からプロセスをひとつずつ順に確実に進行させていく「ウォーターフォール開発」が主流でした。
ウォーターフォール開発は、事前に入念な要求定義と設計を行うことを特徴としています。
この方法は、計画的に進行するためにリソースの無駄がなく、開発工程のどの段階にあるのかをメンバーで把握できるという点で重宝されていましたが
「完成までに時間がかかる」
「途中で変更することが難しい」
というデメリットがありました。
そこで登場したのが「アジャイル開発」です。アジャイル開発は、小さな作業単位で実装とテストを実施することで、全体のシステム開発にかかる時間を短縮化する開発手法です。
ウォーターフォール開発と異なり、小さな開発単位でトライ&エラーを繰り返しながら100%の状態に近づけていくので、スピーディーに開発をすすめられる手法として多くの企業で活用されるようになりました。
MVP開発は、アジャイル開発における試作品を指します。顧客の反応を見るためのツールとしてMVPを開発し、迅速な製品化を目指すのです。
このMVP開発が、スピードを要する新規事業開発に適している理由はいろいろありますが、ここでは主な3つの理由をご説明します。
前述したように、従来のプロダクト開発では、プロダクト完成まで一貫したフローで行うケースが主でした。
そのため、プロダクトが完成し、リリースするまでユーザーのフィードバックを得られず、ニーズのないプロダクトを生み出しかねない状況でした。
しかし、MVP開発では、必要最低限の機能を備えたプロダクトを用いることで開発時間を短縮、ユーザーのフィードバックを即時に得られ、改善や新たな機能を搭載するなどの検討も可能になりました。ユーザーニーズから大きく外れるという心配がありません。
新規事業立ち上げ時は手探りな状況でもあるので、なるべくコストを抑え工数を割く人員も減らしたいところ。
最初から、想定されるすべての機能を備えたサービスを作り上げようとすると、膨大な開発工数・コストを必要とします。
しかしMVP開発は、最小限の機能をもつサービスを開発するところからスタートできるので、コストや人員などの初期投資を抑えることが可能です。
MVP開発は、最小限の機能でサービスに改善を加える形の開発なので、開発における「小回り」が効きます。そのため、PDCAサイクルを高速で何度も行えるというメリットがあります。
最初から完成品を目指す開発では、規模が大きいため、PDCAサイクルもどうしてもスピードが落ちてしまいます。市場に求められるプロダクトは、ユーザーニーズをいかに素早く把握し、改善できるかがカギです。
DeFactoryであれば、一連の流れを「14営業日程度」(※実装期間や開発要件により異なります)で行なえるため、より早いPDCAを実現できます。
新規事業開発に適しているMVP開発ですが、成功に導くためにはポイントを抑える必要があります。
新規事業開発が成功しないことの理由として「ユーザーニーズを正しく理解できていない」ことが挙げられます。ユーザーの抱える問題点・課題は何なのかを把握することが重要です。
そのためには、ユーザーヒアリングを行い、対象ユーザーの声を「直接聴く」こと。5分でも10分でも対象ユーザーに直接ヒアリングできれば、確度が上がります。
対象ユーザーはそのまま初期ユーザーになる可能性もあるので、地道にヒアリングできるターゲットユーザーを探すことが成功の秘訣です。
ユーザーインサイトとは、ユーザーの深層心理、普段意識していない隠れた本音のこと。
「顧客は自分が何が欲しいのかわかっていない」というスティーブ・ジョブズの有名なことばもあるように、ユーザー自身でも気づいていない本音を把握するのは容易なことではありません。
ユーザーの課題を探る方法は「Web解析」や「Q&Aサイト」「アンケート」など、さまざまな手段があります。
しかし、前述したように確度が高いのはユーザーの声を「直接聴く」こと。
根源的な欲求や見えていないユーザーの「ニーズの発見」をするためには、ヒアリングを通じた「ユーザーの行動と行動の結果」から情報を探ることが大切です。
ユーザーの本音を引きだすヒアリングのコツのひとつは「オープンクエスチョン」であること。ヒアリングの際に解決策(答え)を提示する(クローズクエスチョン)ことは避けましょう。
「おそらくユーザーは〇〇の課題を解決するために、〇〇を通じて〇〇のように行動するだろう」その際には「〇〇のような解決策を使うのかもしれない」といった仮説を立てた上で、ヒアリング時にその仮説の整合性は課題の解像度の確度を上げらるかがポイントです。
DeFactoryでは、対象ユーザーの「声を直接聴く」という顧客プラクティスを重要視しています。
・根源的な欲求や見えていないニーズの発見
・ヒアリングを通じた「ユーザーの行動と行動の結果」から情報を得る
・オープンクエスチョンで且つ主観的ではなく客観的な行動を探る
これらを通じてユーザーにとって付加価値の高いプロダクト開発を目指しています。
前述したように、アジャイル開発とは、機能単位の小さいサイクルで開発する手法のひとつ。
優先度の高い要件から「計画→設計→実装→テスト」の順で開発を進めるため、小回りが利き、プロジェクトの仕様変更に強い開発手法です。
一方、MVP開発は必要最小限の機能を実装した製品・サービス、またそのアプローチのこと。不要な時間や無駄なコストを削減しながら顧客のニーズに沿った商品やサービスの構築が可能です。
新規事業開発で失敗する事例の多くは「仮説→検証(MVP開発)→効果測定・評価」のサイクルを上手く回せていないことが原因です。
必要最小限の実装であるMVP開発と機能単位の小さいサイクルの開発手法であるアジャイル開発は非常に相性がよく、この2つの手法を組み合わせることは新規事業開発を成功させるためのポイントになります。
関連記事:【初心者向け】アジャイル開発の3つのプロセス手法とは?
MVP開発は「開発コストの高い製品」や「複雑な機能を必要とする開発」には向いていません。
必要最小限の小さな単位でスタートするMVP開発は、「構築→計測→学習」のサイクルを何度も繰り返すため、1回のコストが高いサービスや製品の場合はある程度の企業体力が必要になります。
また、改善サイクルを繰り返す中で、そもそも最初の方向性が間違っていたということになれば、当初の開発方針を変更しなければならず、思った以上のコストや時間を費やすことになりかねません。
開発の上流だけでなく事業の上流からも支援ができるDeFactoryでは、開発支援のサポートと開発実装ができるので、開発のみに注力する会社とは異なり「ユーザーに求められる商品を作る」ことができます。
今回は「MVP開発」とは何か、MVP開発が新規事業開発に適している理由やMVP開発成功のポイントについてお伝えしました。
MVP開発では、必要最小限の機能を備えたものをユーザーに提供することで、有効なフィードバックを早い段階で得られることが大きなポイントです。
市場の変化に負けない開発手法として、スタートアップ企業はもちろん、大企業でも採用されるケースが増えています。
DeFactoryでは、アイディア着想、ユーザーヒアリング、テストマーケティング、アジャイル・MVP開発と、プロダクト開発における立ち上げ支援を全力サポートいたします。
また、経験豊富なエンジニアと事業開発経験者で、開発だけでなく事業設計から「一気通貫」した伴走を行います。
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