企業の発展には必要不可欠な新規事業。しかし「約85%の企業が新規事業に失敗」というデータもあるように、新規事業を成功に導くことは非常に険しいのが実状です。
新規事業の失敗確率を減らすには、必要最小限の機能を搭載したプロダクトを作り、検証の高速化とユーザーの声を踏まえた機能開発により、ユーザーに本当の意味で価値提供できる製品・サービスの開発が求められるのです。
そこで注目されるのがMVP開発。新規事業の課題「人材・知見・予算」不足の解決の糸口にもつながります。
この記事では新規事業の課題に触れた上で、MVPについて詳しく解説していきます。
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企業の発展を考えた場合、新規事業開発は欠かせぬ要素。
このような状況の中で、よかれと思って機能を盛り込みすぎたプロダクトを数多く作り、市場にニーズのない製品・サービスを提供してしまって失敗するケースが多いのです。スタートアップ企業においては「市場ニーズのないものを開発してしまった」ことに加え、「資金不足」「チーム構成が適切でなかった」などの失敗要因も。
プロダクト開発の領域での新規事業は、MVP開発のように「小さな開発」からスタートして「失敗確率を減らすこと」が重要なのです。ここが抜け落ちることが最も大きな課題といえるでしょう。
その上で、次のような課題も懸念されます。
新規事業ではプロジェクトチームを率いるリーダーを中心としたチームづくりが重要です。しかし、優秀な人材は既に他のプロジェクトで活躍しているなど、社内の限られた人員での人選に苦慮するケースも。特に中小企業やスタートアップでは、そもそも人手が足りていないという根本的な問題もあります。
新規事業開発は、不確実性が高く事業の成功確度が見えにくいもの。企業として不確実なものに資金を投じる判断に至らず、十分な予算を確保できないケースもあります。
そこで「リーンスタートアップ」の手法を用いるのです。リーンスタートアップは低コスト・短期間で作成した、必要最低限の機能・サービスで顧客の反応を見ながら開発し、完成に導くマネジメント手法。
コストをかけずに小さくスタートできるため、予算を確保しづらい新規事業に向いている開発手法です。実際にユーザーに使ってもらってフィードバックを得ることで、ユーザーニーズとかけ離れることのない製品・サービスの提供につながります。
※リーンスタートアップについては後述をご参照ください。
既存事業と異なる分野で新規事業開発の展開をする場合、社内に必要な知識や経験が蓄積されていないケースも。
全くの手探り状態で新規事業を立ち上げとなれば、失敗確率が高くなってしまいます。社内リソースが不足している場合は、外注を視野に入れるのも一つの方法です。
DeFactoryのMVP開発特化型開発支援サービスでは、事業構想段階から事業開発支援者1人とエンジニア1人の体制で支援が可能です(※プロダクトにより体制の変動あり)。
経験3年以上のマーケターやデザイナー、エンジニアは経験5年以上の経験豊富な実務者が新規事業立ち上げから開発まで伴走いたしますので、アイディア着想、ユーザーヒアリングに不安のある方も安心してお任せいただけます。
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MVP(Minimum Viable Product)とは、ユーザーに価値を提供できる最小限のプロダクトのこと。完成した製品・サービスではなく、ユーザーが抱える課題を解決できる必要最低限の状態で提供するのです。
完成品ではなくMVPを作って、いち早く市場にリリースすれば、ユーザーの反応がわかります。その反応をもとに、ユーザーのニーズを満たした完成品へと改善を繰り返していくのです。
プロダクト開発でよく耳にする「リーンスタートアップ」とは、コストをかけずに最低限の製品・サービス・機能を備えた試作品を短期間で作成し、実際にユーザーに使ってもらいならがら開発していくマネジメント手法のこと。
「仮説構築→計測→学習→意思決定」の4つのプロセスを、最小限の作業単位で実装とテストを実施、プロダクト開発全体にかかる時間を短縮化します。
開発側の思い込みで製品やサービスを開発してしまうことで生じる「ムダを省き、失敗ダメージをいかに減らすか」という手法は、不確実性の高い新規事業開発と相性がよいといえます。
この開発手法におけるユーザーへの試作品として用いられるのがMVP。MVPは、必要最小限の機能を搭載した製品であり、仮説を検証するためのプロセスの一部です。
何を検証するのかを定義し、「検証」→「ユーザーの反応」→「検証」を繰り返しながら、ユーザーニーズに最適な製品・サービスを生み出すことが目的です。
関連記事:MVP開発とアジャイル・リーンとの関係性とは?DX推進への活用
MVPは必要最小限の機能で「低コスト・短期間」の実装、ユーザーのフィードバックを得られるため、早い段階での検証が可能、リスクを抑えられます。
MVP開発を実施することで、最短でプロダクトを完成形に導けます。必要最低限の機能から開発を行うので、開発コストを抑え、費やす時間も最小限で済みます。
機能を必要最小限に抑えることで、いち早く市場にリリースし、ユーザーの声をもとに新たな機能の実装や改善を実施することが可能になります。
ユーザーの声をすぐに反映できることで、市場に求められていない製品の開発を回避できます。万が一、開発中止となっても、開発コスト・リソースが抑えられているのでダメージも最小限にとどめられます。
メリットがある一方で、デメリットについても押さえておきましょう。
MVPは必要最小限の機能を搭載し、「最短」で製品・サービスの完成を目指すものです。期間はおよそ2ヶ月が望ましく、開発に2ヶ月以上かかる複雑なものは向いていません。
スケジュールをしっかり組み立てて順次開発を行うウォーターフォール開発の手法は、MVPには向いていません。ユーザーの声を即時取り込み改善しながら完成へと導くスタイルのMVPは、仕様変更やスケジュールに融通が効かないウォーターフォールとは相性がよくないのです。
MVP開発にもいくつかの型があります。ここでは新規事業開発で用いられる代表的な6つの型をご紹介します。
MVPの前段階として開発した試作モデルをそのままMVPとして活用する手法。主に検証できるのは「機能は十分か」「操作性に問題はないか」という点。
有名な事例に「Twitter」があります。社内コミュニケーションとして試験的に開発されたものを社内でフィードバックを経て改善を繰り返した後、一般ユーザー向けにリリースされました。
簡単なWebページを作成し、ユーザーに商品の価値を伝える手法。サービスが未完成の状態でも「興味があれば登録してください」とユーザーの反応を見たり、サービスの顧客がお金を払ってくれるかの仮説検証や課題検証ができるのが特徴です。
大規模開発の前にまずは「手動でやってみる」という手法。仮説をもとに、課題を解決できるか、製品・サービスに需要があるかを検証します。
プロダクトの概要をまとめた短時間の動画を作成し、ユーザーに価値をアピールする手法。アイディアはあるものの、形にできていない場合などに用いられます。顧客がプロダクトに興味を示すかの検証も可能。
システム構築前に、人間がそのシステムの働きを手動で行い、ユーザーニーズを確認する手法。本来であればシステム化されているはずのプロダクトを実際は人間が手動で行うことにより、開発初期に大規模なシステム化を行うリスクを避ける手法です。
関連記事:MVP開発とは?目的と新規事業立ち上げで必要な3つの理由と開発成功のポイント
ここまでMVPの基本を解説しました。では、MVP開発を実践するためにはどのようなポイントを押さえておけばよいのでしょうか。
MVP開発を成功させるためのポイントは次の点です。
必要最低限の機能を搭載してスタートするMVP開発では、「スモールスタート」は原則。機能の搭載が増えるほど、開発のコストも時間も膨らんでしまい、何のためにMVPを作成するのか、意味がなくなってしまいます。
MVP開発のよさを最も引き出せるのは、アジャイル開発です。アジャイル開発は「計画→設計→実装→テスト」という機能単位の小さなサイクルで開発する手法。優先度の高い機能から順次開発をすすめていきます。
MVP開発において、ユーザーの必要最低限のニーズを理解しておかないと検証はうまくいきません。想定していたユーザーニーズが間違っていた場合でも、製品が完成する前のMVPの段階で示唆が得られるのは大きなメリットです。
早期にプロダクトの軌道修正を行うことで、開発中の手戻りが減り、コスト・時間共に大きなロスが生まれるのを防ぎます。
MVP開発に大切なことは、ユーザーの本質的な課題、ユーザーインサイトを正しく捉え、解決方法を明確にすることです。
何らかのバイアスのかかった状態では正しい検証ができなかったり、間違った意思決定につながりかねません。特に、一人で事業開発を行うケースは客観視できなくなっている場合も。
常に全体を俯瞰し、フラットな状態で判断できるとより洗練された検証が可能になるでしょう。
MVPキャンバスとは、効果的なMVP検証実施のための仮説検証の内容を明確化するフレームワークのこと。
出典:https://note.com/bizmap/n/nf0ed68ed5076
フレームワークの活用により、事業の仮説検証の精度があがり、検証後のプロダクト開発の方向性も明確になります。
MVPキャンバスには10の要素があり、それぞれ1つずつ順次記載して実行していきます。
①仮説
新規事業におけるユーザーの本質的なニーズや課題の抽出、最も優先度の高い仮説を記載します。ここで定義した仮説はMVPに実装する必要最低限の機能の開発にも関わります。
②目的
MVP検証実施の目的やゴールを記載。
③仮説実証方法
検証方法を具体的に記載。前述した「プロトタイプ」や「オズの魔法使い」など、さまざまな手法があります。
④実証に必要なデータ・条件
MVPの仮説検証に必要なデータを整理して記載。具体的に条件を設定することで条件のブレを防ぎ、検証効果を高めます。
⑤どんなMVPを作るのか
ユーザーニーズから抽出した課題をもとに必要最低限の機能を定義、記載。
⑥MVP構築コスト
仮説検証に必要なリソースの記載。費用面だけでなく、必要な人員や工数についても記載。
⑦実証に必要な時間
仮説検証に必要な期間を割り出し、記載。
⑧リスク
仮説検証を実施する上で予測できるリスク、未然に防げるリスクの洗い出し。
⑨結果
仮説検証の結果を記載
⑩学び
仮説検証の結果を受けて得られた学びや次の動きを記載。
関連記事:【要保存】リーンキャンバスの書き方とは?「課題発見」のための具体的な作り方
新規事業の課題である「人材・知見・予算」3つの不足。これをカバーすべく用いられるのがMVP開発です。
必要最小限の機能を搭載したMVPで、仮説を検証、いち早く市場にリリースすることで得られるユーザーからの声は、新規事業開発の失敗確率を減らすことにつながります。
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