スクラム開発のメリット・デメリットとは?選ばれる理由を解説

流れの早い市場に新規事業を投下したいと考えた場合、短期間で結果を出せる手法が好まれます。

現在、多くの事業開発の現場で用いられる開発手法「リーン開発」は「顧客志向」の開発手法で、ユーザーの声をいち早く反映させるためにMVP開発を用います。

このリーン開発の開発手法が、短いスパンでの「製品開発」を目的としたコンパクトで迅速な開発「アジャイル開発」です。

今回はこの「アジャイル開発」の中で最もよく使われる手法「スクラム開発」について、メリットを中心に、その特徴やスクラム開発が選ばれる理由を詳しく解説します。

関連記事:【開発前チェックリスト付】ソフトウエア・アプリ開発におけるMVP開発ガイドブック

1.アジャイル開発の手法のひとつ「スクラム開発」とは

「アジャイル開発」は1つの作業単位をコンパクトにし、短い期間で「設計→開発→テスト」を何度も繰り返しながら進めていく開発手法です。

小さい単位ながら、実際に動かしながら開発状況を確認していくので、ユーザーのフィードバックを得やすく、万が一方向性が異なっていたときは、方向転換しやすいことがメリットのひとつです。

ユーザーのフィードバックをいち早く得るためのツールとして、必要最小限の機能を搭載したMVP開発を行います。

このアジャイルの開発手法のひとつが「スクラム開発」です。ラグビーのスクラムが語源となっており、通常3~9人の少人数の開発メンバーで約2~4週間かけて取り組みます。

関連記事:スクラム開発の特徴とは?必要な役割や開発の進め方を詳しく解説

1-1.スクラム開発はチーム戦!メンバーの3つの役割

スクラム開発は、アジャイル開発の中でも特に短い開発工程でプロジェクトを進めることが特徴です。短期間での開発は、チームの高いコミュニケーション力が求められます。

スクラム開発ではチームメンバーの役割として「プロダクトオーナー」「スクラムマスター」「開発メンバー」の3つを設けています。

プロダクトオーナー

プロダクト開発の最終的な責任者としての役割。必要な機能を洗い出し、機能の選択や優先順位の決定、予算管理などプロダクト全体のビジョンを考え、他のメンバーに情報共有・説明をする立場です。

プロダクトオーナーは開発に直接関わることはなく、チームのマネジメント、ステークホルダーへの対応などが中心となります。

スクラムマスター

開発チームがうまく回るように、全体調整をする役割。

開発チームで出た課題に対しては、外部との交渉やメンバーの相談役として話を聞くなど課題解決に奔走します。

プロジェクトが円滑に進むか否かは、調整役のスクラムマスターが担っているといってもいいでしょう。プロダクトオーナーや外部メンバーなどからの要望に対して調整を行い、タスクの修正・管理をしながら、開発メンバーが滞りなく業務が行えるよう調整します。

開発メンバー

実際に開発を担う役割。

スクラム開発にはチームリーダーは存在せず「設計者」「デザイナー」「プログラマー」などの区分けもありません。実際に開発するメンバー個々に設計・コーディング・テスト・運用などのMVP開発スキルを有していることが理想です。

メンバー内で不得意分野がある場合はお互いに作業を融通しながら、最終的には全ての業務をメンバーが誰でも行えるような、横断的に作業できる技術を有する人たちです。

1-2.スクラム開発の進め方

スクラム開発では「スプリント」と呼ばれる短い開発期間で機能と実装・成果物の評価を行います。それを何度も繰り返すことで、プロダクト開発を行います。

一般的には

  1. プロダクトバックログの作成
  2. スプリントプランニングミーティング
  3. デイリースクラム
  4. スプリントレビュー
  5. スプリントレトロスペクティブ

という流れで進めます。

スクラム開発の進め方について、詳しい内容はこちらの関連記事をご覧ください。

関連記事:アジャイル開発とは?メリット・デメリットやプロセス手法も併せて解説

2.スクラム開発の5つのメリット

事業開発においてスクラム開発の導入を検討する場合、メリットを理解しておくことは大切です。

ここではまず5つのメリットについてご紹介します。

2-1.メリット①個々の責任感から生まれるチームワーク

スクラム開発では、チームメンバーが個々の作業工数を見積もるため、それぞれの作業・タスクに対する責任感が生まれ、チーム組成やメンバー育成などにつながっています。

開発サイクルを通じて継続して同じチームで開発を担当するので、チームワークも自然と育まれ、開発のノウハウが蓄積されていくのもメリットのひとつです。

2-2.メリット②早い段階でのフィードバックによる課題発見

スクラム開発では、プロダクトや機能を早い段階でユーザーに届けられるため、ユーザーのフィードバックによる課題発見に迅速に対応できます。

そのため、ユーザーニーズから外れることなく事業開発から早期リリースへとつながります。

2-3.メリット③変更への柔軟な対応・軌道修正の速さ

ユーザーのフィードバックを得ながら、短期間での開発ができるスクラム開発は、変更に対して柔軟かつ迅速に対応するため、プロジェクト終盤に手戻りが発生することもありません。

そのため、それに伴うコストのロスや納期遅延などの問題回避ができます。

2-4.メリット④工数見積もりの正確性によるコスト削減

短いスプリントで開発を区切るスクラム開発は、スプリント内で開発計画の見積もりができるため、工数の正確さが増し、無駄な手間・人件費等を省けるためコスト削減が可能です。

2-5.メリット⑤早期リリース

実装するべき機能に優先順位をつけて開発を進めるスクラム開発は、ムダを省いて短い期間で最大限の効果を発揮することができるため、最短でのリリースが可能です。

早い段階で市場にリリースすることで、競合他社と差別化を図り、市場優位性を保つこともできます。

3.スクラム開発のデメリットとは?

ここまで、スクラム開発のメリットについてご紹介してきましたが、当然ながらデメリットもあるもの。

スクラム開発のデメリットで主に次のとおり。

  • チームメンバーの技術により開発の質が異なる
  • 高いコミュニケーション能力を必要とする
  • 開発スケジュールの全体がつかみにくい

チームでの開発、特に短期間で結果を求められる場合、チーム内のコミュニケーションは何よりも重要です。途中で離脱するメンバーが出た場合など、プロジェクト全体の進捗を左右しかねません。

また、横断的なスキルを一定レベル以上で求められるスクラム開発では、チーム内のメンバーの技術によって結果が異なることもあるため、初心者がいる場合には特にケアが必要です。

スクラム開発は、仕様変更に柔軟に対応できるというメリットの反面、そのたびに開発内容が変わるので、全体のスケジュールがつかみにくいという懸念も。

スクラム開発のデメリットについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
関連記事:スクラム開発のデメリットとは?失敗から導き出す3つの成功の秘訣

4.スクラム開発が選ばれる3つの理由

ここまでスクラム開発のメリットを中心にご紹介してきましたが、アジャイルの中でも「スクラム開発」が選ばれている理由は何なのでしょうか。

4-1.理由①ユーザーへいち早く価値提供するため

プロダクト開発は、開発をするだけではユーザーに届きません。リリースして初めてユーザーの元へ届くのです。リリースサイクルを短くし、最短でユーザーに価値提供するためにはスクラム開発の手法が最適なのです。

4-2.理由②開発効率の可視化・見積もりの正確さ

開発期間を「スプリント」という一定期間に区切ることで、その繰り返しによりデータが蓄積されます。タスクの実行数が記録されれば「開発チーム1スプリントでどの程度の開発ができるのか」を可視化できます。

可視化されたデータの蓄積により、見積もりも更に正確さが増していくのです。

4-3.理由③チームワークを促進

スクラム開発では、スクラムマスターがチームのメンバー且つ進行役としてチームのコーチングを行うことで、チームを円滑に機能させていることが大きいでしょう。

そのため、開発メンバーは自分が何に取り組んでいるかを常に正確に把握でき、ゴールが明確に共有されていることで目標を見失って迷子になることがありません。

「最速」でのリリースが求められる事業開発の現場では、メンバー個々のスキルや目指すものがバラバラでは理想とする形でのサービス提供につながりません。

互いに学び合い、スキルを磨き合い、力を合わせることでより大きな力をチーム全体で発揮できる、理想のチーム像に近づけることが、スクラム開発が選ばれる理由です。

関連記事:スクラム開発のメリット・デメリットとは?選ばれる理由を解説

5.スクラム開発のメリットが活かせないケースとは?

スクラム開発は細かい規定があるわけではなく、あくまでもチームのメンバーが主役の開発手法。スクラム開発のメリットを活かせないケースとして考えられるのは次の3つのケースです。

5-1.スクラム開発(アジャイル開発)を正しく理解していない

スクラム開発では、ステークホルダー等関係者の理解が非常に重要です。従来のウォーターフォール型の開発とは異なるため、アジャイルの考え方・特徴を関係者が正しく理解している必要があります。

中でもスクラム開発は上下関係を有しない、開発チームのメンバーを中心とした組織。迅速な意思決定と即時対応ができるのもそのためです。

最終的には企業そのものが”アジャイル型組織”になることが理想ですが、まずは経営者の理解・共感を得るのが大前提です。

5-2.「チームメンバーが主役」という認識の相違

前述のように、スクラム開発では上下関係はなく、チーム全員が主役。メンバーひとりひとりが重要な役割を果たしています。スクラムマスターはそれぞれのメンバーを、チームメンバーはお互いを尊重し合うことで強い結束力が生まれます。

チームメンバーそれぞれが主役であるという認識が欠如し、お互いを尊重できなくなるとチームが機能しなくなり、結果としてプロダクト開発の質の低下につながります。

5-3.目指すゴールをチーム全員が共有できていない

プロダクト開発のプロジェクトには必ず目的・ゴールがあります。チーム全体で何を目指しているのか、メンバーの意見を集約しつつ、ゴールを設定・共有できていないとスクラム開発のメリットが発揮できません。

なぜスクラム開発の手法が選ばれたのか、なぜこのメンバーなのか、最終目的はどこにあるのか。ここを明確にすることが失敗確率を減らし、成功に導くためには重要です。

DeFactoryでは、スクラムの手法を取り入れつつ、経験豊富なエンジニアとマネージャーが伴走・支援しますので、初めてスクラム手法を行なう方でも安心のサポート体制です。新規事業立ち上げから開発まで一気通貫「最短14営業日」で行うことも可能です。

6.まとめ:「スクラム開発」に関する支援を承ります

今回は、スクラム開発のメリットを中心に、スクラム開発が選ばれる理由などをご紹介しました。

スクラム開発は、短期間で結果を求められるため、チームワークが重要な開発手法ともいえます。短い期間での開発は、仕様変更が生じることが前提でもあるため、開発チーム内で目的がしっかり共有されていることが必要です。

スクラム開発の特徴・仕組み・メリットを理解した上で、自社への導入を検討しましょう。

DeFactoryでは、アイディア着想、ユーザーヒアリング、テストマーケティング、アジャイル・MVP開発と、プロダクト開発における立ち上げ支援を全力サポートいたします。 

また、経験豊富なエンジニアと事業開発経験者で、開発だけでなく事業設計から「一気通貫」した伴走を行います。 

事業開発や立ち上げを検討しているご担当者様がいらっしゃいましたら、問い合わせページから資料請求や無料相談などお気軽にご連絡くださいませ。 

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この記事を書いた人
DeFactory代表取締役 事業開発、デジタルマーケティング(検索領域)、グロースハックが得意領域です。 事業の壁打ちのご相談お受けしております!

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