近年注目されているECサイトプラットフォームの一つに、Shopifyがあります。Shopifyは従来のECサイトにはない特長があり、世界の大手企業の数々もWeb戦略として活用し始めてます。
今回は、そんなShopifyで集客をする際に考えるべきLTVについて、説明します。LTVを向上させるポイントについても解説するので、Shopifyの集客・運営でお悩みの方は参考にしてください。
Shopifyとは、自社のオンラインストアを開設できるECサイトプラットフォームの一つです。日本国内だけではなく、海外発送や各種通貨への対応なども整っているため、グローバルにビジネスを展開したい事業者にも向いています。
Amazonや楽天などの大手ECサイトの場合、「出品者→ECサイト事業者→消費者」という構図で取引が行われるため、出品者と消費者の間にはECサイト事業者が仲介役として存在します。一方でShopifyでは、「ECサイト事業者(Shopify)→出品者→消費者」という構図で取引を進めます。つまり、Shopifyでは出品者と消費者がより近い関係性を築きながら、販売を行えるのです。
このようにD2C(ダイレクトトゥーコンシューマー)というビジネスモデルに強みを持つことがShopifyの特徴で、自社製品・自社ブランドの魅力を直接消費者に伝えるには最適なプラットフォームといえるでしょう。
なお、Shopifyは「月額29ドル〜/14日間無料・初期費用無料」で利用できるサブスクリプション型で、自社でサーバーなどを用意する必要がありません。初期費用をできるだけ抑えながら、手軽にECサイトを開設できる点もShopifyの大きな魅力です。
LTVは「Life Time Value」の頭文字を取った言葉で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。顧客生涯価値を言い換えると、「顧客が生涯の間に支払ってくれる金額」です。
例えば、一度の買い物で1万円使ってくれる顧客がいるとして、その人が生涯の中で100回買い物した場合、LTVは100万円になります。このように、コンスタントに商品を購入してくれる顧客との関係を良好なまま維持できれば、LTVは上がります。
Shopifyの運営に限らず、デジタルマーケティングを行う上で、LTVは重視すべき指標の一つです。顧客を流出させないためにも、ビジネスのジャンルに関係なく、LTVを考えることは非常に重要といえます。
LTVを求める計算式は、基本的に「LTV=顧客単価×購入回数」と表せます。
ただ、LTVを求める計算式は一つではなく、以下のようなものも使われます。
なお、顧客生涯価値の「生涯」とは顧客の寿命の話ではなく、その顧客と企業が「契約関係にある期間」という意味です。そのため、LTVを求める際には上記のように、契約期間・取引継続期間なども計算要素に含むことがあります。
LTVとは切っても切れない関係の言葉が、CAC(Customer Acquisition Cost)です。CACは顧客獲得単価と訳され、「1人の顧客を購入に至らせるまでにかかるコスト」を指します。
CACは、以下の計算式で求められます。
広告費だけではなく、サービスを運用する際の人件費・Web施策のコストなど、顧客獲得までにはさまざまなコストがかかります。CACがLTVよりも大きな数字である場合、それは赤字という意味で、要するにビジネスとして成り立っていません。
基本的に、LTVをCACで割った数字(LTV/CACの比率)が、3以上であればビジネスとして順調な状況だと判断できます。
例えば、CACが1万円だとして、顧客の購入単価が5,000円・平均の購入頻度が4回だとします。この場合のLTVは4万円(5,000円×4)で、LTV÷CAC=4なので、ビジネスとして健全です。
なお、一般的に既存顧客が再び商品を購入する場合に比べて、新規顧客の獲得に必要なコストは約5倍だともいわれています。したがって、コストを最小限に抑えながら最大限の利益を上げるには、「既存顧客がリピートして商品を購入する」状況を作ることが大切だといえるでしょう。
ここまでは、LTVとCACを中心に既存顧客と新規顧客のアプローチの手法をお伝えしてきました。とはいえ、事業を立ち上げた直後では、新規顧客の獲得に注力したいと考える方は多いはずです。
ここではさらに、新規顧客をより多く獲得するためにCACを中心とした集客手法についてお伝えします。
SNSは多くの人が利用するコミュニケーションツールであると同時に、ビジネスにおける集客のチャンネルとしても重要なツールです。LINE・Twitter・Instagram・Facebookなど、現在はさまざまな種類のSNSがあります。中でもLINEの普及率はめざましく、総務省のデータによると10代〜40代におけるLINEの利用率は90%を超えています。
またTwitterやInstagramなどでは、商品やブランドに関するレビューも多く投稿されるので、フォロワー数が多いアカウントに拡散されることで大きな宣伝効果が見込めるでしょう。
出典:総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
Shopifyでは各種SNSと連携できるようになっており、Web戦略の一つとしてSNSは重視されています。
ネットサーフィンをしている時に、検索結果やページ上などに表示される広告がWeb広告です。Web広告の中でも、検索結果のトップ画面に表示されるリスティング広告は、特に多くのユーザーへアプローチできます。
Shopifyでは、リスティング広告の一つであるGoogle広告と連携可能です。特定の検索ワードに応じてGoogle広告が出るように設定すれば、効果的な集客に繋がります。
ユーザーが特定のワードを検索した時に、検索結果画面に上位表示されるようなコンテンツを作ることで、自社サイトに流入を見込める方法です。Shopifyにはブログ機能があるため、自社商品のアピールに加え、ユーザーの悩みを解決できるようなコンテンツをShopify上のブログとして投稿することで、検索結果からの集客が期待できます。
なお、検索からの集客を目指す場合は、ただ商品紹介などを投稿するのではなくSEO(検索エンジン最適化)の観点からブログを制作することが重要です。自社商品に関連する、検索されやすい言葉などをキーワードに設定し、コンテンツを制作するなどの工夫が必要でしょう。
デジタルマーケティングにおいて重要な指標であるLTVを向上させる際、意識したポイントとして以下の点が挙げられます。
先述のとおり、LTVの基本計算式は「LTV=顧客単価×購入回数」です。単純に考えて、一度の購入で支払ってもらう金額が増えれば、LTVも上がります。
具体的に顧客単価を上げる方法としては、アップセル・クロスセルを意識することが挙げられます。アップセルとは、購入を検討している商品よりも高単価の商品を購入してもらうこと、クロスセルとは関連商品と併せて購入してもらうことです。
さらに、同じような商品が3つの価格帯で用意されている場合、消費者は真ん中の価格帯を選ぶ傾向にあるという「松竹梅の法則」を利用するのもよいでしょう。
関連記事:アップセルでShopifyの顧客単価を高めよう!実施のポイントも解説
顧客単価とともに、購買頻度(購入回数)を増やすことでLTVは向上します。購買頻度の増加とは要するにリピート回数の増加を指しているので、いかにリピートを促進するかが重要です。
購買頻度を増やすには、商品やサービスの魅力が伝わるようにし、購買意欲を高める工夫が必要といえます。商品自体のリニューアルや新商品のお知らせ、商品の活用方法といった購買意欲を刺激する情報をSNS・メルマガで発信するなど、複数のタッチポイントから効果的にアプローチしましょう。
また、先述のレコメンドエンジンを駆使して購買意欲を刺激することも、顧客単価・購買頻度を上げる手段の一つです。
関連記事:「Shopifyのレコメンド・レコメンドエンジンとは?メリット・デメリットとおすすめアプリ」
LTVを向上させる重要なポイントの一つに、コストの削減も挙げられます。先述したCACだけではなく、広告にかかるCPCをどれだけ下げられるのか、またコストを削減する一方でCVRをいかに上げられるかなど、全体的な運用コストのバランスを考えることが重要なのです。
なお、Shopifyでコストや工数をできるだけ抑えてLTVを向上させたい場合には、レコメンドエンジンの導入をおすすめします。レコメンドエンジンを活用すれば、ユーザーの離脱回避・買い忘れ防止・リピート促進などにつながり、工数を特に増やすことなくLTV/CACの改善が可能です。
DeFactoryが作成しているレコメンドエンジン「PeecAI(ピークエーアイ)」は、難しい設定は不要で、導入までおよそ10分ほどで利用できるようになります。利用料も無料なので、ぜひ一度お試しください。
関連記事:Shopifyのレコメンド・レコメンドエンジンとは?メリット・デメリットとおすすめアプリ
購買頻度とも関連しますが、「どれくらいの期間顧客としてあり続けてくれるか」も、LTVを考えるうえで重要です。仮に1回の購入単価が低かったとしても、何年も継続して顧客として商品を購入してくれる場合、LTVとしては高い数値になる可能性があります。
また、最初は購入単価が低くても、商品やブランドに愛着が湧いてくると徐々に上がることも考えられます。
顧客維持率を高めるには、一度獲得した顧客を流出させない工夫が重要です。例えば、CRM・MAツールなどを活用して既存顧客の情報・属性を徹底的に管理し、適切なタイミングで既存顧客にメリットのある情報発信をする、などの方法が挙げられます。
ただし、顧客を逃したくないからといって接触機会を増やしすぎると、かえって嫌悪感を抱かれる可能性もあるのでご注意ください。
市場のニーズや行動を把握した適切なアプローチや、顧客獲得に必要なコストの最適化など、顧客管理の徹底もLTVの向上には必要です。
例えば、今求められている商品の性質は何かをリサーチしたうえで、ターゲットに刺さる商品をリリースできれば顧客獲得・顧客単価の増加につながります。
具体的な方法としては、MAツールなどを活用することで、顧客一人ひとりにマッチしたアプローチもできます。見込み顧客のニーズに合わせたコミュニケーションを適切に行うことで、効率的な顧客獲得につながるでしょう。
なお、想定しているターゲットが有効なアクションを起こしているか、購買頻度や顧客維持率を上げるための施策はどれほどの効果が出ているのかなども定期的にチェックしておきたい点です。
Shopifyは手軽に自社のオンラインストアを開設できる、便利なプラットフォームです。しかし、利益を継続的に出すには商品をただ販売するだけではなく、LTV(顧客生涯価値)を向上させるための工夫が必要になります。
SNSやWeb施策などで集客を試みるとともに、顧客単価・購買頻度・顧客維持率の増加や顧客管理の徹底といった、LTVの向上につながる要素を意識してShopifyを運営することが、利益を出すためには重要だといえるでしょう。
LTV/CACの改善を効率的に行いたい場合は、ぜひDeFactroyのレコメンドエンジン「PeecAI」のご利用も検討してみてください。