プロダクト開発ではなぜ「フレームワーク」が重要なのか?事例も合わせて解説!

プロダクト開発の初期は「何をすればいいのか」「何から手をつければいいのだろうか」という漠然とした悩みや不安がつきものです。

時間だけが過ぎていき、焦りが募るばかりで結果に結びつかないという経験はないでしょうか。

そんなときに助けてくれるのが「フレームワーク」。これを知っているか知らないかでプロダクト開発のスピードは全く異なったものになります。

今回は、プロダクト開発の際に有効な「フレームワーク」について、フレームワークとは何なのか、どんなフレームワーク・手法があるのかなどをお伝えします。

関連記事:プロダクト開発とは?プロセスや流れ・フレームワークを解説

1.プロダクト開発ではなぜ「フレームワーク」が重要なのか?

「フレームワーク」とは「プロダクト開発をするために必要な機能があらかじめ用意された枠組み」のことです。

フレームワークを使えば、開発の各段階において必要な検討やリサーチ等を自動化し、作業効率が上がります。多くのプロダクト開発を行っている会社も、各段階でさまざまなフレームワークを活用しています。

ここでは、なぜフレームワークが必要なのか具体的にご紹介します。

1-1.開発にかかる時間を削減できる

プロダクト開発を全くのゼロから行うには、多くの手間暇がかかります。

しかし、既に開発に必要な機能が備わった枠組みである「フレームワーク」を活用すれば、開発にかかる工数を削減できます。

例えば、請求書の作成をするのに、新規のExcelから作成しはじめるのか、テンプレートを使って作成するのはどちらが効率がいいだろうか、ということです。

プロダクト開発に必要な機能がテンプレート化されているので、本来の目的である開発に十分に時間を使うことができるのです。

1-2.ミスやエラーが減少する

先ほどの請求書に例えると、請求書の枚数が増えるほど、チェックする項目が増えます。それぞれにフォーマットが異なれば、言わずもがなです。

全てに目を通さなければならず、必要以上に多くの時間を費やすことになり、処理する際にミスを誘発しやすくなります。

フレームワークを使えば、あらかじめ決まった型式に収まっているため、ミスやエラーを防げます。

プロダクト開発においては、少ない記述で開発を進められるため、ミスやエラーの減少に直結するのです。

近年のように、目まぐるしく変化する開発の現場では、これまで以上に納期短縮が求められたり、スピードを求められたりする場面が増えてきました。

ミスやエラーで時間を無駄に費やしてしまうことはプロジェクト全体のスピードにも大きく影響します。

2.プロダクト開発で使えるフレームワーク5選

前述したとおり、プロダクト開発ではフレームワークを活用することが、スピード感を必要とする現在の現場では必要不可欠です。


プロダクト開発のさまざまな段階において、自社に合ったフレームワークを選ぶことが大切です。

ここでは、プロダクト開発の最初の段階におすすめのフレームワークを5つご紹介します。

2-1.ポジショニングマップ

ポジショニングマップとは、自社の優位性を導き出すためのフレームワーク。

(出典:SynapseConsulteing)

競合他社と比較して自社の強みや差別化を明確にし、優位なポジションを導き出すものです。市場の中で、自社がどの位置を狙うべきかを視覚的に理解しながら戦略を立てられるのがメリットです。

ポジショニングマップでは、競合他社に勝てる2つの軸を選定します。

そのためには、

1.顧客のKBF(購買決定要因)を引き出す

2.ターゲット顧客が特に重視する項目を引き出す

3.競合製品と比較

この3つの段階を経て、ポジショニングマップの軸を2つ選び出します。

縦軸・横軸からなる2次元の座標によって表現できるため、市場の状況や各プロダクトの関係性をひと目で把握できます。

ポジショニングマップの目的は「競合他社と差別化し、優位性のある独自のポジションを見出す」ことです。

作成したポジショニングマップを俯瞰し、競合他社の存在しない空白の領域をいかに見つけられるか、そのための軸の選定が重要なポイントです。

2-2.リーンキャンバス

リーンキャンバス(Lean Canvas)とは、ビジネスモデルを9つの要素に分けて考えるフレームワークで、新しいビジネスモデルを企画する上で役立つツールです。

(出典:⑦新規事業開発のアプローチ(リーンキャンバスを用いた「課題発見」の具体的な書き方

1枚の紙面上で自社の事業を俯瞰して理解できることがメリットの一つ。

「ビジネスモデルキャンバス」と似ていますが、記載する要素が異なります。

リーンキャンバスの要素は、よりスタートアップ企業に役割を果たす内容(要素)になっていることが特徴です。

開発初期段階のアイデアを検証するには、このリーンキャンバスの中でも赤枠で囲んである部分の仮説を立てて挑む必要があります。

DeFactoryでは、素早くアイデアを整理するためにリーンキャンバスのマスの埋め方に優先度を設けています。
アイデアを最も具体化するべき6項目「顧客の抱える課題」「既存の代替案」「独自の価値提案」「ハイレベルコンセプト」「顧客セグメント」「アーリーアダプター」を重要視しています。

なぜなら「顧客の本質的なニーズを知るために聴く」というスタンスが非常に重要だと考えられるためです。ここがブレてしまうと事業全体がブレてしまうので、優先度を高くしています。

また、開発初期段階で企画書作成時にリーンキャンバスを用いるメリットもご紹介します。

①理解してもらいやすい
基本的にA4サイズ1枚にビジネスモデルがまとめられているので、関係者にサービスの全体像・本質が伝わりやすい

②短時間で作成できる
事業計画書は、ページ数が多く作成に膨大な時間がかかりがち。リーンキャンバスなら1ページに要点がまとまり、作成時間を短縮できて読み手にも伝わりやすい。

③共有しやすい

数十枚におよぶ事業計画書より、A4サイズ1枚に収まるリーンキャンバスはメール・スマホ撮影などシェアしやすい。

このようなメリットもあることからリーンキャンバスは開発初期段階で多く用いられています。

2-3.core,why,what

初期段階で行うプロダクトの3つの視点「core」「why」「what」からつくり上げていくフレームワーク。

【プロダクトを捉える際の視点】
「core」 核心部分。自社の優位性・どのような価値提供ができるのか。
「why」  ユーザーの求める市場・どんな課題を解決できるのか。
「what」 何をどのようにつくるのか。実際の機能など具体的に見えるもの。

この3つの視点で順に作り上げていきます。
まずは「core」で自社の優位性・資源を活かしてどのような価値を生み出すことができるのか検討します。

次に「why」

ポイントはユーザー目線。ユーザーはなぜ従来製品から離れてしまったのか、何を求めているのか。本当の意味で求めている課題解決は何なのかをあぶり出します。ここでは、あえてcoreに囚われず自由な発想から検討することが必要です。

最後に「what」

具体的に製品をつくる段階でもう一度coreに立ち返ります。何をどのようにつくるのか、どんな価値提供ができるのか。coreとwhyを検討した上でwhatに辿り着くことで、プロダクト開発を成功へと導きます。

失敗している多くの事例は、顧客の本当のニーズを引き出すcoreとwhyの部分が抜けてしまっているのです。

2-4.デザインスプリント

プロダクト開発フレームワーク「core→why→what」が基礎ならば、「デザインスプリント」(Design Sprint)は応用編にあたります。

デザインスプリントは、5日間でプロダクト開発をするというもの。

Google Venturesがスタートアップ支援を目的に、開発・運用を推進のために設計されたプロダクト・サービス開発のフレームワークです。

短期間でプロトタイプを作成、検証まで至るフレームワークは、基本的に5日間で構成。時間的な制限の中で「より早い理解→アイデア→決定→プロトタイプ作成→ユーザーテスト」を行います。企画からユーザーテストまで一貫して行い素早くアプローチする、スピード感のあるフレームワークです。

【デザインスプリントの5ステップ】

①課題を探す

②解決策を挙げ、最善策を選ぶ

③プロトタイプを検討・設計する

④プロトタイプを作成する

⑤ユーザーテストで反応を集める

通常のプロダクト開発では、課題を探してから解決策を決めるまでに1週間程度かかってしまいます。しかし、デザインスプリントでは2日で済ませます。

限られた時間での開発は、チームコミュニケーションの向上、集中力・効率アップなど、さまざまなメリットがあります。

2-5.2×2マトリックス

プロダクト開発では、限られた時間・人員・コストの中で、プロダクト有効性の検証が求められます。要件定義で決められたどの機能から開発していくのか、優先づけていく必要があります。

その製品機能を実装するための優先順位を明らかにするために使われるのが、この2×2マトリックスです。縦軸・横軸の2軸で各機能を評価し、4つの象限に分類する方法です。

ここではマトリックスの事例を2つご紹介します。

①BCGマトリックス

 有名なボストン・コンサルティング・グループが発案。企業の長期的戦略を計画する際に広く使われている。

 縦軸×横軸:「市場の成長率」×「市場における自社製品のシェア」

(出典:Affde

②アンゾフの事業拡大マトリックス

企業の事業拡大の戦略を数多く抽出しようとするもの。経営学者のイゴール・アンゾフが提唱。

縦軸×横軸:「市場」×「製品」、それぞれ「既存」「新規」の2区分を設け、4象限のマトリックスとした。

(出典:ビジネスIT

3.ユーザー調査・分析に使えるフレームワーク・手法

これまでお伝えしてきたように、プロダクト開発においてフレームワークは非常に重要な役割を果たします。

ここでは、数あるフレームワーク・手法の中でも「ユーザー調査・分析」に適しているものを3つご紹介します。

3-1.AEIOUフレームワーク

「AEIOUフレームワーク」とは、行動記録を振り返るときに使う5つの質問の頭文字を表しています。下記5つの調査項目の頭文字を取ったものです。

1.Action(行動):ユーザーはどのような手順でどのような行動をするのか

2.Environment(環境):ユーザーの住まいや周辺環境はどのような影響を与えるのか

3.Interaction(相互作用):ユーザーと周りとのつながり・関係性がどのような影響を与えるのか

4.Object(もの):ユーザーの生活にある「もの」がどのような影響を与えるのか

5.User(人):ユーザーの価値観、人生観

ユーザーインタビューをする際には「何を聴いてどんな情報を得られるか」が重要です。

この「AEIOUフレームワーク」に沿って調査項目を作成することで必要な情報が得られるというものです。

3-2.共感マップ

共感マップとは、ペルソナ視点で感情や行動を整理すること。開発初期に行うユーザーのニーズを浮き彫りにするフレームワークです。

ペルソナとは、プロダクトのターゲットとなるユーザーを表す典型的な人物像を具体的に設定したものです。年齢・職業だけでなく、趣味や価値観など設定したリアルな人物像です。

ペルソナが見たもの、聴いたこと、感じたことに対してどのような行動をするのか、何にストレスを感じているのかなどを整理します。

共感マップを作成することで、ターゲットユーザーを深く理解し、ニーズを正しく把握することが叶です。

DeFactoryでも、ユーザーの声を「直接聴く」ことが重要だと考えています。
ユーザーは自分が欲しいものが何なのかをわかっていない状態であることがほとんどです。ユーザーの課題の解像度を上げるためにも、潜在意識をも引き出すことを意識してユーザーインタビューを行いましょう。

関連記事:【要保存】リーンキャンバスの書き方とは?「課題発見」のための具体的な作り方

4.まとめ:「プロダクト開発」に関する支援を承ります

今回は、プロダクト開発において開発前、開発時に使うフレームワークがいかに重要であるかをお伝えしました。

プロダクト開発に必要なフレームワークは、世の中に多く存在し、手法もさまざまです。
そのため「何を目的として、そのフレームワークを使うのか」を意識しておくことが重要です。

ユーザー自身がわかっていない潜在意識を把握した上で、ユーザーの求めるプロダクト開発を行うためには、時々刻々変化する現在の世の中ではスピードも求められます。

DeFactoryでは、プロダクト開発の立ち上げ支援・各フェーズのフレームワーク活用法もサポートしています。

その他、アイデア着想、ユーザーヒアリング、テストマーケティング、アジャイル・MVP開発と、プロダクト開発における立ち上げ支援を全力サポートいたします。 

また、経験豊富なエンジニアと事業開発経験者で、開発だけでなく事業設計から「一気通貫」した伴走を行ないます。 

事業開発や立ち上げを検討しているご担当者様がいましたら、問い合わせページから資料請求や無料相談などお気軽にご連絡くださいませ。 

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関連記事:プロダクト開発とは?持続的な会社の成長に欠かせない理由と開発の流れを解説

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この記事を書いた人
DeFactory代表取締役 事業開発、デジタルマーケティング(検索領域)、グロースハックが得意領域です。 事業の壁打ちのご相談お受けしております!

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