システム開発の見積りで見るべき項目とは?失敗しないためのポイントも解説

システム開発を検討している場合、まずは見積りを出してもらうことが一般的でしょう。

しかし、システム開発の見積りにおいてチェックすべきポイントや、どのような項目に費用がかかるのかよくわからない方も多いかもしれません。

この記事では、web/システム開発ではどのような項目に費用がかかるのか、失敗しないためにチェックしたいポイントと併せてご説明します。

1.システム開発で見積りが出される項目

システム開発では、おもに以下のような項目に対して見積りが出されます。

1-1.要件定義・要求定義費用

要件定義とは、エンジニア・プログラマーなどが何をすれば良いのか、具体的な目的や課題を明確にする作業です。

また、要求定義とは、事業担当者などの専門知識を持ち合わせていない人が、どのような機能を開発したいのかを技術者に伝える作業を指します。「○○という課題を解決したいので、□□のような機能を実装したい」というように、システムに求める具体的な要求内容を定義する工程です。

一般的に、要件定義・要求定義には数日かかります。

関連記事:要件定義と要求定義の違いとは?それぞれの考え方や定義書に記載すべき項目

1-2.設計費用

設計は、要件定義で決めた内容にしたがって、ソフトウェアの中身を具体的に設計する作業です。

設計には、大きく分けて以下の2種類があります。

・基本設計(機能一覧・データの入出力などの設計)
・詳細設計(サーバー・データベースなどの設計)

基本設計・詳細設計は、さらに外部設計・内部設計に分けられます。

外部設計は、デザインや外観など、いわゆるUI(ユーザーインターフェース)に関する設計です。UIは、ユーザーが直接操作する部分のため、システムの利便性や魅力をもっとも感じやすい部分といえます。ユーザーの満足度を得るためにも、UIのデザイン費用はある程度確保しておいたほうがよいでしょう。

一方で内部設計は、ソフトウェア内部の機能の設計で、プログラマーやエンジニアなどの技術者が主体となって行なわれます。

なお、要件定義・要求定義と同様に、設計にも数日必要です。

1-3.開発費用

設計書にしたがって、実際にプログラミングを行なう作業です。

開発には、フロントエンド開発とバックエンド開発の2種類があります。

【フロントエンド開発】

ユーザーの目に見える部分の開発。ユーザーがクリックする部分や外観など、視覚的な情報の開発を指します。

【バックエンド開発】

ユーザーに見えない部分の開発。システムの内部処理や、特定の機能を付けるためのプログラミングなど、実質的な開発を指します。

【webシステム開発】
・メールフォーム:3万円~

【例】フォームズ・オレンジフォーム・Googleフォーム など

・顧客管理:20万円~

【例】ちきゅう・Salesforce Cloud・SATORI など

・CMS:50万円~ 

【例】WordPress・Movable Type・FREE CODE など

・ECサイト:50万円~ 

【例】Amazon・ZOZOTOWN・ユニクロ など

なお、要件定義~設計の工程を経て、ご契約から実際に開発を開始するまでは概ね10日~規模により20日程度要する場合もあります。開発自体の工数は開発規模によっても変動しますが、MVP開発を例にとると、平均2~3ヵ月ほどかかります。


1-4.デザイン費用

webシステム開発では、UIなどの設計にかかる費用も発生します。UIとは使いやすさのことで、ビジネス観点だけでなくデザイン観点からの理解も重要になってきます。

・視覚的に分かりやすい
・ページの読み込みが早い
・何をすればよいかが分かりやすい


よいデザインのサービスを作ることが、独自性のあるシステムにつながる場合もありますので、開発する上でしっかり考慮しておきたいポイントです。

1-5.テスト・リリース費用

開発したシステムが設計書どおりに動くか、トラブルがないかなどをテストで確認する作業です。

テストは、規模により2週間~1ヵ月程度要します。不具合が見つかればその都度修正し、問題がなくなれば正式にリリース(納品)されます。

なお、テストには以下のようにいくつか種類があります。

・単体テスト(ユニットテスト):モジュール単位(パーツ単位・ページ単位など)で、プログラムの動作を確認するテストです。

・結合テスト:単体テストをクリアした各モジュールが、連携した際の動作を確認するテストです。

・総合テスト(システムテスト):ここまでのテストを経たプログラム全体を、実際の運用を想定して動かし、問題なく動作するかを確認するテストです。外観・機能・処理・セキュリティなどさまざまな観点から、リリース可能なレベルにあるかをチェックします。

1-6.導入・導入支援費用

システムが完成し、実際に導入する際には初期設定が必要です。さらに、使用方法のレクチャーやマニュアルの準備など、滞りなく運用できるようにサポートする導入支援を行なうこともあります。

このように、システムの導入時には導入・導入支援費用も必要になります。

1-7.設備費用

システムを開発・運用するにあたって、以下のように、ハードウェアやサーバーなどの機材を購入する場合もあります。

・開発用のPCが不足している場合:リースや購入などで用意する

・Web上で動かすシステムの場合:WebサーバーやWebアプリケーションサーバーを用意する

また、サーバー構築やストレージの確保などインフラ整備に関しては、AWSやGCPなどのクラウドサービスを活用することもあります。これらも設備費用の一部といえるでしょう。

1-8.保守・運用費用

開発が終わってからも、定期的にアップデートや修正などを行なうためには、保守・運用費用が必要です。

実際にシステムを運用していくと、突発的なトラブルや思いがけない課題に直面することもあります。正常な運用を継続的に行なうためにも、保守・運用作業は不可欠といえるでしょう。

保守・運用作業には大きく分けて、「システム全体の改善作業」「トラブルシューティング」の2つがあります。具体的な作業内容としては、以下のようなものが挙げられます。

【システム全体の改善】

・バッチ処理
・システムアップデート
・データベースのチューニング など

【トラブルシューティング】

・不正アクセスの対応
・バグの修正
・システム障害の対応 など

なお、年間でかかる保守運用費用の相場は、開発費用の15%程度といわれています。例えば、500万円で完成したシステムであれば、年間75万円が必要になる計算です。

もちろん、プロジェクトによって差はありますが、およそ開発費用の10%~20%程度を想定しておくとよいでしょう。

上記のほか、場合によっては交通費やスケジュール管理費用が、見積りに含まれることもあります。

関連記事:プロダクト開発とは?プロセスや流れ・フレームワークを解説

2.見積りの大部分は人件費

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設備導入費用などを除くと、ここまでご説明した見積もりの大部分は人件費です。多くの人が関わるシステム開発では、「○○円必要」と一概に言うことはできません。

システム開発の費用計算には、基本的に「人月」単価が用いられるためです。

人月とは、以下の2つを掛けた工数単位を指します。

「システム開発に必要なエンジニア・プログラマーの人数」

             ×

「1人あたりにかかる月単位の人件費」

仮に、5人のエンジニア(月単価60万)で3ヵ月かけて開発する場合、「15人月」となり、以下のような計算になります。

5人×3ヵ月×60万円=900万円


一般的なwebシステム開発費用の相場は以下の通りです。

【webシステム開発費用の相場】

・プログラマー 下請け/フリーランス:40万円~80万円 
・プログラマー 大手企業:60万円~100万円
・エンジニア初級:60万円~100万円
・エンジニア中級:100万円~120万円
・エンジニア上級:120万円~200万円

ただし、システム化する範囲や構築したいシステムの内容など、プロジェクトによって必要な人月は異なるでしょう。また、技術者のレベルによって単価も違ううえ、予定よりも開発期間が延びるようであれば、その分費用は上乗せされます。

人件費はさまざまな要素によって変動するため、検討しているシステムの開発費用を詳しく知りたい場合は、一度見積りを取るか、無料相談などを活用してみてください。

DeFactoryでは、問い合わせページから資料請求や無料相談などの申し込みが可能です。

また、システム開発における要件定義までであれば最短5営業日で、要件定義〜テストまでのサイクルであれば最短14営業日で行なうことが可能です。

システム開発や事業の立ち上げを検討しているご担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

3.失積時に発注者として失敗しないために確認すべきポイント

システム開発の見積書を見る際には、項目と金額をただ確認するだけでは不十分です。

開発会社とのコミュニケーション不足や、要件変更などにより、「納期の遅延」「連携ミス」「低品質な完成品」などのトラブルにつながることはよくあります。

このようなトラブルが起こらないようにするために、以下の点も併せてチェックしましょう。

3-1.作業範囲・責任範囲

システム開発には、要件定義・要求定義〜テスト・リリース〜保守・運用まで、さまざまな作業があります。作業範囲がテスト・リリースまでなのか、保守・運用までなのかは、プロジェクトによって異なるのが一般的です。

そのため、見積りでは、希望する作業範囲と開発会社の作業範囲が合致しているか確認しましょう。開発会社がどこまで作業するのかを明確にしておくことで、責任範囲の共有もできます。

また、発注者側が進捗管理をどのように行ない、コミュニケーションの方法も確認しましょう。ミーティングを定期的に設けるのか、対面なのかメールで済ませるかなど、事前に決めておくことで、双方の認識のずれを減らしやすくなります。

3-2.開発リスク

開発にはさまざまなリスクがあります。開発に大きなトラブルや変更が生じた場合、当初の予算のみで開発できるとは限りません。「トラブル対応費」や「修正費」のような項目が見積書に入っていれば、開発リスクに対する費用も含まれていることがわかります。

「修正費」などが見当たらない場合、リスクが生じた場合にどのような対応をしてくれるのか確認したほうがよいでしょう。

3-3.契約内容

後々トラブルに発展しないよう、契約内容を確認しておくことも重要です。

システム開発では、以下のように請負契約・準委任契約のいずれかで契約することが一般的です。

・請負契約:システム(仕事)の完成に対して報酬を支払う契約。
・準委任契約:成果完成型と履行割合型の2種類があり、それぞれ以下のとおり。

【成果完成型】:得られた成果(システムの完成)に対して報酬を支払う

【履行割合型】:成果(システムの完成)ではなく、契約内の仕事に対して報酬を支払う

履行割合型の準委任契約の場合、開発を依頼していたシステムが完成しなくても、仕事自体が実施されていれば費用が発生します。

契約内容によって、報酬が発生する条件が異なる点に注意してください。

3-4.要件・要求の反映状況

開発内容は要望どおりか、予算内に収まっているか、希望する開発方法になっているかなど、開発会社に伝えている要件・要求が反映されているかも確認しておいてください。

開発内容のすり合わせができていないと、開発途中で修正・変更が生じやすくなります。コストの最適化やトラブル防止のためにも、見積りの段階で納得できるものになっているかチェックが必要です。

なお、見積りを検討しているということは、その時点で開発したい内容がある程度決まっていると思われます。実装すべき機能は何か、解決したい課題は何かなど、ソフトウェアの詳細についてできるだけ詰めておくことで、開発会社も正確な見積りを出しやすくなるでしょう。

関連記事:新規事業立ち上げを成功させるには?フレームワークや手順を徹底解説

4.まとめ:「システム開発」に関する支援を承ります

システム開発の見積書を見る際には、作業範囲や責任範囲が明確か、開発リスクは考慮されているかなどに注意し、不明点がないかを十分確認してください。また、契約内容についても、後々のトラブルにならないよう忘れずに確認しておいてください。

疑問点があれば、見積もりをとった段階で質問しておきましょう。

DeFactoryでは、ソフトウェア開発の立ち上げ支援・各フェーズのフレームワーク活用法もサポートしています。その他、アイデア着想、ユーザーヒアリング、テストマーケティング、アジャイル・MVP開発と、ソフトウェア開発における立ち上げ支援を全力サポートいたします。 

また、経験豊富なエンジニアと事業開発経験者で、開発だけでなく事業設計から「一気通貫」した伴走します。
事業開発や立ち上げを検討しているご担当者様がいらっしゃいましたら、問い合わせページから資料請求や無料相談などお気軽にご連絡くださいませ。

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この記事を書いた人
DeFactory代表取締役 事業開発、デジタルマーケティング(検索領域)、グロースハックが得意領域です。 事業の壁打ちのご相談お受けしております!

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